井上尚弥の今春予定3団体統一戦を巡り“PPV配信放映権争奪戦“が勃発…第1弾成功で「Amazonプライムビデオ」も参戦名乗り
プロボクシングのWBA世界バンタム級スーパー、IBF同級王者の井上尚弥(28、大橋)が4月に予定している次戦の3団体統一戦の放映権を巡って「Amazonプライムビデオ」、「ひかりTV」、「ABEMA」らのPPV(有料放送)の配信会社の間で争奪戦が起きていることが7日、明らかになった。プロボクシングにおける初の本格PPVの導入となった昨年12月14日のアラン・ディパエン(タイ)戦は「ひかりTV」と「ABEMA」の2社により配信されたが、「満足いく結果」(大橋秀行会長)だったという。次戦は、ドラマ性があるWBC世界同級王者のノニト・ドネア(39、フィリピン)との再戦が有力視されており、さらなる視聴が見込めるとあって「Amazonプライムビデオ」も参戦。これまで井上の試合を中継してきた地上波のフジテレビも含めて“井上争奪戦“の様相となった。モンスターのマーケット価値もモンスター級になってきた。
オミクロン株の影響で開催の先行き不透明も
4月に国内開催の方向で進んでいる井上の3団体統一戦。オミクロン株の拡大による新型コロナの第6波襲来で、「状況がつかめない、どうなるかわからない。難しい状況ですね」と、大橋会長も苦悩の表情で開催時期がずれこむ可能性を示唆した。 ただ対戦相手については、井上自身が、体調不良を理由に前日計量をすっとばしながらも提出した医学的証明が認められタイトルを保持することになったWBO世界同級王者、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)との対戦に興味をなくし、カシメロ側も中止となった同級1位のポール・バトラー(英国)との指名試合を最優先しなければならなくなったことで、WBC世界同級王者のドネアが最有力となっている。 そして水面下では、その3団体統一戦の放映権を巡って熾烈な争奪戦が勃発していた。 「ひかりTV」、「ABEMA」に続き、「Amazonプライムビデオ」が名乗りをあげているのだ。海外では主要なスポーツのライブ配信を行っている「Amazonプライムビデオ」は、日本ではまだスポーツの分野に進出していなかったが、初の試みとして昨年12月29日のWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)とIBF世界同級王者のゲンナジ―・ゴロフキン(カザフスタン)との”世紀の一戦”を配信する予定だった。オミクロン株の影響で、この試合は延期となったが、そのビッグマッチにに続く第2弾として井上に白羽の矢を立てたのだ。 億単位となる放映権を巡って争奪戦が起きた背景のひとつに井上が先のPPV配信で作った実績がある。井上の2年ぶりの国内凱旋試合となった昨年12月14日のディパエンとの防衛戦は、日本のプロボクシング界で初めて本格的に「ひかりTV」、「ABEMA」の2社でPPV配信された。海外でのビッグマッチの主流は、巨額のファイトマネーを生み出すPPVでボクシングのビジネススタイルを確立する基盤となった。