パイプオルガンのすばらしさを伝えたい 新潟市民芸術文化会館専属 浜野芳純さん(28) 令和人国記
国内最大級のパイプオルガンが設置されている新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ、同市中央区)の第5代専属オルガニストに、欧州の音楽院で経験を積んだ浜野芳純さん(28)が就任した。7月の初リサイタルを控え、「パイプオルガンのすばらしさを皆さんに伝えたい」と意気込んでいる。 ■フランスで聴衆賞 4歳からピアノを始めた私が初めてパイプオルガンに出会ったのは、大学1年のときでした。ミッション系の関西学院大にはチャペルがあり、ピアノ経験者向けにパイプオルガンのレッスンを行っていました。そこでオルガン指導者、坂倉朗子(あきこ)先生のすばらしい演奏と出会い、パイプオルガンにひきつけられていきました。 大学4年の初めに卒業に必要な単位をすでに取得していた私は、4年時の平成29年9月、坂倉先生も学んだオランダのアムステルダム音楽院オルガン科に入学し、4年間学びました。 一番の思い出は、モーツァルトも弾いたという言い伝えが残る、聖バフォ教会の大きな赤いパイプオルガンを演奏したこと。教会の厳粛で神聖な空気が張り詰める中、パイプオルガンの残響が長く響き渡る。この空気感はなんともいえないものがありました。 卒業後は、仏トゥールーズ地方音楽院の歴史的オルガン演奏コースに入り、昨年修了しました。 欧州滞在中の令和3年、フランスで行われたJ・L・フローレンツ国際コンクールで2位と聴衆賞、翌4年の仏メシアンコンクールで4位と聴衆賞を受賞しました。聴衆賞は、お客さんの心を動かした奏者に与えられる賞で、お客さんの投票により決まります。 ■7月に初リサイタル 昨年8月に欧州から帰国した私は、りゅーとぴあの専属オルガニストのオーディションに応募。トークも含めたコンサート形式の実技演奏などを経て、採用されました。 現在、7月20日に同館で行われる初リサイタルに向け、準備を進めています。オルガン曲のすばらしさを知ってもらうため、フランスのモーリス・デュリュフレが作曲した「組曲Op・5」などを演奏予定です。この組曲は音色が多くないと弾けない曲で、同館のパイプ数4843本、ストップ(音色を調整するスイッチ)の数69個という国内最大級のパイプオルガンだからこそ演奏できる曲ともいえます。 こうした演奏のほか、大人向けのパイプオルガン講座の講師も務めています。これだけ大きなパイプオルガンを弾く機会はめったにないため、定員に対し3倍の希望者が応募してくることもあります。さらに、夏休み中のお子さんを対象にしたオルガン体験会も行う予定です。