振り子のような「アングロサクソン帝国」の日本評価 今後どのような関係を目指したらいいのか?
第4期・経済対立から軍事蜜月へ
今考えればベルリンの壁崩壊は、東ヨーロッパ社会主義国家陣営の崩壊だけでなく、日本の凋落と、中国の台頭を意味していた。長期にわたって世界をリードしてきたアングロサクソン帝国は、日本を組み込んで中国への包囲と牽制を強めようとしている。 どうも日本が弱くなるとアングロサクソン帝国は優しくなるようだ。再び蜜月時代となる。しかし今度は文化蜜月ではなく軍事蜜月である。日本にコメントするのは文化人ではなく政治家と軍人であり、本来保守であった経済人は中国との関係で微妙な立場を余儀なくされている。 こう見てくると、アングロサクソン帝国の日本評価は振り子のように振れていることが分かる。たしかに他のアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国と比べて「日本は特別」という意識はあったのだが、それが逆(良くない)方向に振れる時代もあった。 外交官であった故岡崎久彦氏は、アングロサクソンとの関係を良好に保つことが常に日本の基本戦略だという考え方を示している。ひとつの達見である。名古屋の会議で話したことがあるが、官僚という立場でこれだけハッキリと自分の意見を表明したことに敬意を表したい たしかに、アングロサクソンは日本にとって最も重要なパートナーであると思われる。とはいえこれまでの歴史を踏まえて考えれば、短期的な課題に応えるだけでなく、長期的文化的に良好な関係を、ジックリと築き上げていく必要があると感じる。 政治家は民意を汲みとる必要があるが、民意は揺れ動く。リーダーというものは常に他のメンバーよりも冷静かつ柔軟でなくてはならない。