70歳母の安楽死をきっかけに仏門へ スイス出身の古刹・高雲寺住職 ジェシー釈萌海さん 一聞百見
門徒の熱心さにも胸を打たれる。多くは、親の世代は仕事をしていて寺とのつながりは薄かった人たちだ。「みなさん、年を重ねて親など大切な人を亡くして仏さんと縁を結ぶケースが多い。触れ合うにつれ、代々守ってきたみんなの寺であることを感じます」
9月からは毎月28日に聞法会(もんぽうかい)を開き、10月12日には門徒が見守る中で住職就任式を営んだ。
住職になり、その立場の重要性をかみしめている。「住職がいないと寺から人が離れていく」。さまざまな縁でたどり着いたからこそ感じることがある。「寺の未来は暗いと思っていたが、出会いがあって未来が明るくなった」との総代の言葉を胸に、誰にでも開かれた寺にしたいと願う。(池田祥子)
じぇしー・しゃくほうかい 1979(昭和54)年生まれ。スイスと英国の国籍を持つ。2004(平成16)年、留学生として来日し、日本語を学びながら居合道や尺八にも取り組む。18(同30)年、母の死をきっかけに真宗大谷派で得度。教師資格を得て、今年8月末に高雲寺(福井県敦賀市)の第27代住職に就任した。居合道四段、尺八は琴古流、都山流で師範の免状の腕前。京都市内で日本人の夫と暮らす。