災害に向けた<トイレの備え>を徹底解説。防災トイレ専門家「古く節水性能が低いタイプでは、流すのになんと10リットル以上の水が必要で…」
◆自主的に点検できる建物の箇所を把握しておく 地震による影響で排水設備に損傷がある場合、便器から汚水を流すとトラブルの原因になります。 専門業者による詳しい点検が必要になりますが、災害時にはすぐ対応してもらえない可能性が大きいでしょう。 そこで、居住者自身で自主的に点検できるように、管理業者や専門家等に相談して、あらかじめ排水設備の主な点検箇所を把握しておくことをおすすめします。 まず、自宅の便器から出た汚水が、どの排水管で建物外まで運ばれ、敷地内のどの部分を通って下水道や浄化槽に接続するのかを調べ、次に、建物内の排水管を外観から確認できる箇所がないか、探してみてください。 どの部分が被災するかは災害が起きてみないとわかりませんが、地震動による挙動は建物と建物内の設備で基本的に同じなので、建物に排水管がしっかり固定されていれば破断するリスクは小さくなります。 一方で、建物から出て下水道や浄化槽につながるまでに地下で埋設されている管は、挙動が異なるため、破断するリスクが大きくなります。 液状化により排水管が閉塞したり、逆こう配になったりすることも考えられます。特に、建物と地面の境目の部分は地盤沈下で排水管が破断しやすい部分です。 このように点検すべき箇所がわかっていると、災害時の点検作業がスムーズになります。 ※本稿は、『トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』(学芸出版社)の一部を再編集したものです。
加藤篤
【関連記事】
- 災害への備えは水・食料よりもまず<トイレ>!?防災トイレ専門家「断水後、水道の仮復旧までにかかった平均日数はなんと…」
- 災害が起きてから知るのでは遅い<携帯トイレの使い方>。「いくつ備えておく?」「使ったらどう処理?」防災トイレ専門家が徹底解説
- 危機管理アドバイザーが伝授する、在宅避難時の過ごし方。断水時の簡易トイレの作り方や割れた窓の応急処置などを解説
- 仁支川峰子「26年前、新築の自宅を豪雨に流され、同じ場所にもう一度家を建てた。今は都内で賃貸。おひとりさまは〈持ち家か賃貸か〉が永遠のテーマ」
- 安田大サーカス・団長安田「阪神・淡路大震災で、親友がいる崩壊したビルに声をかけ続けて。友を亡くして、僕は芸人になった」