災害に向けた<トイレの備え>を徹底解説。防災トイレ専門家「古く節水性能が低いタイプでは、流すのになんと10リットル以上の水が必要で…」
◆トイレットペーパーの使用量を把握する トイレットペーパーを1か月にどのくらい使っているか、見当がつくでしょうか? もし災害が起きた場合、今、自宅にあるトイレットペーパーの量で足りるのか、どのくらいの期間もつのかがわからないと不安になります。 停電・断水時は、温水洗浄便座を使用することができないので、なおさらです。必要な量は個人差もあるので、自分が安心できる量を把握しておくことが必要です。 目安となる量の測り方は簡単です。いつも通りにトイレットペーパーを手に巻き取り、それを伸ばして測ってみましょう。1回あたりの使用量が分かれば、あとは掛け算です。 できれば、1か月分の備えをおすすめします。以下の計算式で算出した数値を、1ロールあたりの長さで割れば1か月間で必要なロール数がわかります。 日本家庭紙工業会「日本家庭紙工業会からのお知らせ(第2報)」によると、トイレットペーパーの平均的な利用量は、1週間程度で1ロールです。 これをもとにすると、1か月で4ロールですが、シングルロール(1枚巻き)やダブルロール(2枚重ね巻き)、さらにはロングロール(長尺巻き)など様々なので、日ごろ使い慣れているもので実際に測ってみましょう。
◆便器の洗浄水量を把握する 水洗トイレで流す水の役割は大きく2つあります。 1つ目は、便器の汚れを落とす、もしくは便器に汚れをつかなくすることです。2つ目は、大小便とトイレットペーパーを下水道や浄化槽まで、詰まることなく搬送することです。 断水時、もし外部から水を確保できるのであれば、これらの役割を果たすために必要な量の水を運ばなければなりません。 その量は「1回あたりの洗浄水量×人数×トイレ使用回数」から求められます。 国内の家庭用水洗便器における大便使用時の洗浄水量は、最も節水性能の高いタイプで約4リットル、一般的な節水タイプで約6~8リットル、古く節水性能が低いタイプで10リットル以上と言われています。 先の計算式に照らせば、とても人力で運べる量ではないことがわかります。 単に便器から排出するだけではなく、下水道や浄化槽まで運ぶのに十分な量が必要なので、水を節約しようとしてむやみに水量を減らすと、詰まり等の発生につながります。 なお、一般社団法人日本レストルーム工業会は、大小便とトイレットペーパーを便器から適切な場所まで搬送する性能(大便器汚物搬送性能)として、排水管平均搬送距離が10メートル以上であることを基準にしています。
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