香川県でアイスホッケー58年目 香川ジュニアが「香川アイスユナイテッド」へ
OB・OGとの繋がり 教え子と国体で共闘できたことが区切りに
現在社会人の香川アイスフェローズには、このクラブ出身の選手がいる。クラブを卒業したOB・OGたちがジュニアの指導に来てくれることもある。保護者や卒業生の伝手でスポンサーが増えることもある。人との繋がりがクラブの支えだ。 かつて香川とは縁もゆかりもなかった今監督だが、昨年まで香川で現役を続けていた中で、大きな出来事があった。 「このクラブを卒業して大学生になっている現役選手がいるのですが、その子が香川県代表として国体に出場することになり、昨年僕は、教え子と一緒に冬季国体に出ることができました」 この上ない嬉しさと、そして「一区切り」という実感があった。「これでやっと終われるな、と。それで自分は選手を引退したんです」。
アイスホッケーの魅力は「何よりもスピード感」
8歳の頃から37年間現役を続けた今監督。アイスホッケーの魅力は「何といってもスピード感」だという。氷上を滑るスピード感。パックを奪い合い、パスをする。高速シュートでゴールを狙う。 小学生以下では、「氷上の格闘技」と形容されるボディチェック(体当たり)は禁止されており、小さい子どもでも安全に楽しむことができるが、ぶつかり合いも醍醐味の一つだ。 「アイスホッケーは、スポーツの中ではめずらしく、ゴールの裏が使える競技なんです」 ほかの競技にはない道具やルール、氷上限定のプレーというハードルになる部分も「やってみてハマる魅力」なのだという。
団体競技として「みんなで頑張って、みんなで勝つ」
今まで8年間子どもたちを指導してきた中で、監督自身に変化はあったのだろうか。 「教え始めた頃は、自分自身が実業団で勝負していたので、どうしても勝ちを意識していました。でも勝とう勝とうというプレッシャーがあると、プレーがどんどん小さくなってしまうんです」 そこからはいろいろ考えた。他競技の指導者の本やメンタルの本などを読み、考え方は少しずつ変わっていった。 「結果のみではなく、プロセスも大事にしようと考えました。例えば上手い子が一人いて勝っても、団体競技としての楽しみがない。みんなで頑張って、みんなで勝とうと。だから、今はそこまで勝負にこだわっていません」 今監督が子どもたちの指導をするとき、大事にしている「理念のようなもの」がある。 「アイスホッケーは個人競技とは違います。相手も必要だし、レフェリーや進行してくれるオフィシャルの方、サポートしてくれる保護者たち、全ての協力のもとで試合ができています」 一番大事なのはチームの仲間。そして、対戦する相手も、支える周りの人も、すべてが揃っていなければアイスホッケーはできないのだ。 「だからその全てに対してリスペクトと感謝をして欲しいと思う。そこを目指してチーム作りをしています」