20年以上モーレツ社員だった私の「鋼のメンタル」が突然“絶不調”になったワケ
文字通り仕事に命を捧げる社員を「モーレツ社員」と呼ぶ。現在、多くの企業でメンタルケアをサポートする株式会社Smart相談室CEO・藤田康男氏もその1人だった。新卒入社で飛び込んだマスコミ業界で20年以上、仕事人間として邁進し続ける「鋼のメンタル」の持ち主だったが、突然メンタル不調を発症。その事実を受け入れられず、事態を悪化させた過去があるという。誰もが他人事ではいられないメンタル不調に罹るリスクを解説する。※本稿は、藤田康男『社員がメンタル不調になる前に 会社の責任?それとも……?』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 新卒入社時から20年にわたって 絵に描いたようなモーレツ社員だった 私は社会人になってから約20年間、仕事人間として生きてきました。多くの時間を仕事に費やし、やりがいを強く感じています。新卒の頃に得た、自分の思考や行動が形になり、クライアントに価値を提供できた時の感動、社会を良くしていることへの満足感が今でも続いています。最近はあまり耳にしなくなりましたが、昭和の時代を引きずっている人間かもしれません。 こんな私ですが、実は体調を崩し、メンタル不調になったことがあります。まさか、自分が不調になるなんて思ってもみなかったので、かなり動揺しました。また、体調を崩したのが事業責任者として組織を拡大しているタイミングでしたので、個人として、組織をマネジメントする責任者として、両者の立場において深く考える機会となり、人生の大転換点となった出来事でした。 私が新卒で就職したのは、マスコミ業界です。媒体社の広告営業としてセールスを行っていました。
バブルは弾けていましたが、その他の業界と比較するとまだまだ活気がある状態でしたし、自分の性格が広告営業の仕事にマッチしていると感じており、辛さよりも楽しさが断然上回る日々でした。さらに営業のプレーヤーとして成長し、その分野で成果を残して行くのだろうと当たり前のように考えていました。 そんな時、当時の上司の勧めもあり、大学院へ進学することになります。環境が大きく変わることになりましたが、新たな生活も実に楽しいものでした。 大学院では、経営全般のことを学問として学びます。学びは、理論と実践を行き来する形で進み、書籍から理論を習得する際は、これまで知らない概念が沢山出てきて、それが経営に紐づいていることを知りワクワクしました。 実践の部分では、ケースディスカッションを行うのですが、業界や業種の違う仲間とディスカッションを行うと、これまで自分が持っていた視点が単眼的なものであることを痛烈に学びました。大学院での学びは、経営者となった今、私に大変大きな影響を与えています。