「出張したら赤字だよ」「都内は素泊まりで2万から」…。ホテルの歴史的高騰を背景に、従業員の「賃上げ」は進んでいるのか? 中には「中堅社員に渋い会社」も。
「出張で予約したいホテルの料金が、わずか1年前の1.5倍──。」 このような経験をした経営者や管理職の方も多いのではないだろうか。 【画像5枚】都内のビジホは、2~3万円がデフォルトになりつつある 今、ビジネスホテルの宿泊費高騰が止まらない。総務省の消費者物価指数(2024年11月22日に発表)によると、宿泊料は2024年9月の前年同月比から6.8%増加、10月で7.7%増を記録している。 ■客室単価1.8倍、稼働率80%超も 一方、東京商工リサーチが2024年12月13日に発表した調査結果では、国内の上場ビジネス・シティホテル運営会社13社の2024年7-9月期の客室単価は、コロナ禍前と比較可能な12ブランド(11社)で平均1万5537円に達した。
これはコロナ禍で最も価格が下落した2021年の平均8320円と比較すると、実に1.8倍(86.7%増)にまで跳ね上がった数字だ。 12ブランドのうち11ブランドは、2023年の客室単価も上回っている。注目すべきは、この価格高騰下でも客室稼働率は12ブランド全てが70%を超え、7ブランドが80%を超えているという事実だ。 こうした需要の高まりを牽引しているのが、インバウンドの復活である。2024年7月19日に政府が開催した「第24回観光立国推進閣僚会議」では、2024年の訪日外国人旅行者数が過去最多の3500万人になる見通しが示されている。これは2019年の実績約3188万人を上回る数字だ。
2025年には大阪・関西万博の開催も追い風に、さらなる増加が見込まれており、直近の伸び率で推移すれば2030年には、政府目標である6000万人も視野に入る。 そうなるとホテルの客室はますます、国内客とインバウンドの争奪戦に。来年以降、さらなる値上げは避けられない状況と言えそうだ。 ■大手では進む賃上げ、働く人に還元の姿勢が ビジネスホテル代が高くなるのは消費者にとっては痛手だが、働く人にとっては、待遇改善につながるなど、ポジティブな面もあるかもしれない。