「便秘症」は治療が必要な病気。子どもの便秘が慢性化するのを防ぐために、正しい知識を身につけて【専門医】
便秘症をほうっておくと悪化し、長期の治療が必要になることも
――子どもが機能性便秘症になった場合、食事や運動など生活習慣の改善だけでは治せませんか。 萩原 悪い生活習慣を改めることは、便秘の改善に有効と報告されていますが、それだけで機能性便秘症を完治させるのは難しいでしょう。 機能性便秘症が1カ月以上続くと、「小児慢性機能性便秘症」と診断されます。こうなると簡単に治すことが難しくなり、患者さんによっては、年単位の治療が必要になることがあります。だから、便秘は慢性化させないことがとても大切なんです。 ――慢性便秘症になるのを防ぐために必要なことを、月齢・年齢別に教えてください。 萩原 まずどの時期も、「便秘かな」と思ったらほうっておかないこと。これが、慢性便秘症の予防には欠かせません。 離乳食開始前(~生後6カ月)は、器質性便秘症ではないことをまず確認します。器質性便秘症ではない場合、この時期のうんちはやわらかいことが多く、かたくて出せないことはまれです。 腹圧をうまくかけられず、また、肛門を上手にゆるめることができなくて、便秘になっていることがあるので、必要に応じて綿棒浣腸を行うと、少しずつ自力でうんちを出せるようになっていきます。 離乳食開始後(生後6カ月~12カ月)はうんちがかたくなり、出すのに苦労することがあります。うんちがなかなか出なくて子どもが苦労しているときは、かかりつけの小児科でうんちをやわらかくする薬を処方してもらうといいと思います。 トイレトレーニング中(2歳~3歳)に便秘になる原因としては、かたいうんちを出すときに肛門が切れて痛い思いをしたことで、うんちを出すのが怖くなり、がまんするようになることが挙げられます。この場合も、うんちをやわらかくする薬を飲むことが改善策となります。 また、トイレトレーニングに失敗しても怒らず、応援してあげる姿勢も大事です。 4歳以降になると、羞恥心が芽生え、 保育園・幼稚園など自宅以外の場所でうんちを出すのをがまんして、便秘になることがあります。でも、自宅外での排便を強制すると、かえって便秘が悪化することがあるので要注意です。便意がなくても朝食後に短時間トイレに座ることを習慣にすると、朝食後に排便するサイクルが徐々にできあがり、便秘の解消につながることがあります。 ――1歳~2歳の便秘対策はどうしたらいいでしょうか。 萩原 離乳食開始後~トイレトレーニング開始の間の年齢なので、子どもの発育・発達やうんちの様子を見ながら、両方の対策をしてみてください。