「表現の不自由展」中止問題 参加アーティストが会見(全文1)表現の自由に対する責任
自由の根源が崩壊するか、食い止めるかの分岐点
表現の自由っていうのはもちろん言論の自由とつながっています。ということは私たちの知る権利に直結しています。ということは1人1人の人間が自分自身の考えを自分で決めるという自由に直結しています。1人1人の人間が自分の人生を自分で決める自由にも直結しています。あいちトリエンナーレで今、何が起こっているかというと、この自由の根源が崩壊するのか、それともここで今われわれが食い止めるのか、その分岐点にわれわれはあると思っています。 今、作品展示を中止しているタニア・ブルゲラというキューバ人のアーティストがいます。彼女はキャリアを通じてずっと数々の検閲を体験してきたし、数々の検閲を見てきました。それでもその彼女にとって一度、検閲されたもの、一度、取り外されたものがまた置かれる、またその扉が開かれるという経験は今まで一度もしたことがないと。でも今回はそういうことが起きる可能性があると。今回は奇跡が起きるんじゃないかという言葉を残して彼女は日本を去りました。ここに集まっているアーティストも全員その奇跡は起きる、起こさなければいけないと信じてここにいます。 でもそれを起こすには私たちアーティストだけの力では足りません。それは関係者の皆さまとの協力も必要だし、そして観客の皆さまとの連帯によって初めてそれが可能になります。そういう奇跡を一緒に起こすために、その挑戦のために私たちはこのReFreedom_Aichiというものを立ち上げます。 司会:(英語)卯城さん、お願いします。
ReFreedom_Aichiをオーガナイズ
卯城:こんにちは、卯城竜太といいます。普段はChim↑Pomというアーティストコレクティブのリーダーをやっております。今回は「表現の不自由展」に参加しております。小泉さんが言ったように自分で自分の人生を決める、他人に考えに強要されない生き方をするということは、まずは自分たちが、まず物を見て、自分で見て、自分で考えて、自分で知って、その中で自分で表現をして表明をする、そこからしかその自由や権利は生まれません。 私たちは、それでここに来たのは考えを述べることという以上に、今回は解決を目指してきました。そのために私たちはReFreedom_Aichiをオーガナイズしました。ReFreedom_Aichiはボイコットしているアーティストも含め国内外、現在の時点で35組の賛同アーティストからなるネットワークです。ReFreedom_Aichiの活動を大きく3つに分けて紹介したいと思います。1つはネゴシエーション、2つ目はオーディエンス、3つ目はプロトコルというふうに僕たちは呼んでいます。 ネゴシエーションは主に今、行われているいろんな交渉にアーティストが窓口を持っている、そういうまとまりを、私たちがまとまることによってそのアーティストの窓口、オーディエンスの声をその交渉のテーブルに届けるための窓口、そういうものをつくるための活動です。私たちは自作の解決のためのロードマップを作っています。それに即して活動を進め、県やトリエンナーレ、あとは「表現の不自由展」実行委員会、そういったものたちに働き掛けを行っていきながら、このことを解決したいと思っています。