外来爬虫類、昆虫などに寄生して「ダニ」が密入国!? 危険な種類も
爬虫類に寄生して侵入するマダニと病原体
ダニの中には人間に対して直接的に害を及ぼす種も存在し、そのなかの代表的な種類がマダニ類です。マダニ類は世界で1,500種以上、日本国内で約40種が知られる吸血性のダニです。餌はシカやイノシシなどの野生動物の血液で、本来は自然環境中の森林や草むらに生息しています。 マダニ類は、その体内に病原体を有する場合があり、吸血によって動物や人間に病原体を感染させる恐れがあります。最近、日本国内でも重症熱性血小板減少症候群(SFTS)というマダニが媒介するウィルス感染症が新たに発見され、さらに死亡事例が複数報告されたことで大きな話題となっています。その他、マダニは、回帰熱、日本紅斑熱、ライム病など、様々な感染症を媒介します。 近年、我が国ではペットとしての外来爬虫類の飼育が流行しており、野生個体が大量に輸入されていますが、こうしたペット用輸入爬虫類に随伴して外来の寄生性マダニ類が日本に持ち込まれるケースが報告されています。
さらに、これらのマダニ体内における病原体微生物の検査を行った結果、ボレリアという細菌のグループが多数検出されています。マダニ媒介のボレリア類には、回帰熱およびライム病など人間に対して重い症状を示す病原体となるものも含まれますが、今回発見されたボレリアはその遺伝子型から、回帰熱病源型ともライム病原型とも全く異なる新型の系統であることが判明しています。 即ち、これまで人類が遭遇したことのない未知なる病原体が爬虫類に寄生するマダニとともに日本に持ち込まれ、しかも人の生活空間にまで持ち込まれるリスクが明らかになったのです。 この新たに発見されたボレリアの健康リスクは現時点では不明とされます。
そもそも、人の健康に影響を及ぼす感染症は厚生労働省の管轄であり、感染症を媒介する動物の輸入は感染症法によって厳しく規制されています。ところがこの法律で規制対象とされる動物は哺乳類および鳥類という恒温動物のみであり、爬虫類や両生類などの変温動物は規制対象外となっています。 海外産のペット動物の輸入には、未知の病原体が侵入してくるリスクがあることを我々はもっと知っておく必要があります。