ユナイテッドアローズ「フィータ」にみる今の時代のラグジュアリー
日々、さまざまなブランドに触れるなかで「ずっと着られる服」を選ぶ難しさを痛感しています。あの時はかわいいと思ったけど、次のシーズンには飽きてしまって後悔の念と共にクローゼットに眠っている服は実は結構あります。そんなまだまだ勉強不足な私に、服の価値を理解する大事な視点を教えてくれたのが、ユナイテッドアローズのオリジナルブランド「フィータ(PHEETA)」です。 【画像】ユナイテッドアローズ「フィータ」にみる今の時代のラグジュアリー
「フィータ」を手掛ける神出奈央子デザイナーは、同社のセレクトショップ業態「アナザーエディション(ANOTHER EDITION)」のデザイナーとして入社。「アナザーエディション」が2017年秋冬シーズンで終了したのち、19年に「フィータ」を立ち上げました。コンセプトは「つなぐ」。インドを生産拠点に、服作りの希少な手仕事を次代につなぎ、世代を超えて愛される服を作ることを目指しています。取り扱いは「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」や「ロンハーマン(RON HERMAN)」「ビオトープ(BIOTOP)」など。
24年秋冬シーズンからはメンズラインを始動しました。それを記念して今年6月には、神出デザイナーと、かねてより「フィータ」のファンだという「ビオトープ」の迫村岳ディレクターが“モノ作り“をテーマにトークショーを行いました。そこで初めて「フィータ」の大事にしている「つなぐ」というフィロソフィーに触れました。
会場内では、タック縫いを施した生地見本が配られました。上下に並んだ二つの生地。お恥ずかしながら最初はデザインが違うのかな、くらいしか分かりませんでした。神出デザイナーの話を聞くと、一つはインドの職人が手縫いしているもの、もう一つは機械で縫ったものでした。そう説明を聞いてから見ると、タックの細かさ、縫い目の美しさが全然違う。「フィータ」では、手でしか縫うことのできない3ミリ以下のピンタックを採用しているとのこと。トークショーでは、このような「フィータ」のミリ単位のこだわりとそれを実現するためのインドを中心とした生産パートナーとのストーリーが語られました。