81歳の現役医師が毎日飲む「命の野菜スープ」更年期障害や糖尿病を克服した秘伝レシピ
81歳になった現在も、現役内科医として第一線で活躍する天野惠子先生。女性の身体に適した医療を提供する“女性外来”を日本で初めて創設した、性差医療のパイオニアとして知られる名医だ。 【写真】81歳の現役医師が毎日飲む「命の野菜スープ」の作り方 3人の子どもを育てながら医師として仕事に邁進(まいしん)してきたが、子宮筋腫や重い更年期障害、糖尿病にも悩まされ、その都度身体と向き合いながら自分なりの健康法を取り入れ、乗り越えてきた。 そんな天野先生は、80代を迎えた今が一番楽しいと話す。壮絶な更年期経験と、元気の秘訣を聞いた。
毎日飲む「命の野菜スープ」
「昔から体力に自信がありましたが40代になると風邪をひきやすくなって1年間治らないことも。加齢によって卵巣の機能が弱まる過渡期でエストロゲンの分泌が減り、免疫力が低下していたんだと思います」(天野先生、以下同) 卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンは、妊娠に備えて子宮内膜を厚くするほか、骨や血管の健康維持、免疫力アップ、自律神経の調整、脳の活性化などさまざまな働きがあり、加齢とともに分泌が減ると不調が現れる。 「45歳のとき、月経の出血量が異常に増える“月経過多”に。さらに疲れやすくなり、運動不足で体力が落ちたと思っていたら検診で月経過多による貧血だとわかって。婦人科へ行くと、閉経前のホルモンの乱れで出血が増えているとピルを処方されたんです。 ピルで月経過多と貧血は治ったのですが、ある日、尿をしていたら途中で急に止まってしまって……」 驚いて病院にあったエコーを自分の下腹部に当てると子宮に筋腫が見えたという。 「つまり子宮筋腫のせいで月経過多になったのに、筋腫の見落としとピルの間違った処方で筋腫が大きくなり、膀胱(ぼうこう)を圧迫してしまったんです」
子宮と卵巣摘出で突然訪れた閉経
結局、子宮に筋腫が8個見つかり、子宮と卵巣の摘出手術を受けることに。 「卵巣がんのリスクをなくすため、子宮だけでなく卵巣も摘出しました。エストロゲンの働きを長く享受するため、卵巣はできる限り温存するのが主流なんですが……」 こうして天野先生は50歳で閉経を迎えた。術後は出血もなくなり、貧血も治って身体は楽になった。 「ところが術後半年たったころ、足の裏の皮膚が象のように硬くなって、顔の皮膚が薄くたるみ始めました。閉経でエストロゲンの分泌が止まり、更年期の症状が始まったんです」 エストロゲンを補う薬を飲み治まったものの、それから3年後、再びさまざまな症状に悩まされるようになる。 「発汗とのぼせ、ほてりが本当につらくて。発汗は特にひどく、医師として患者さんを診察しているときもタオルが手放せないほど。5年たったころ、足の裏を軽石でこすったら身体中に痺れが走り、以来1年間、原因不明の痺れにも悩まされました」 さらに下半身の冷えと関節の痛み、脳がうまく働かず集中力が低下、倦怠(けんたい)感、疲労感にも襲われた。 「その中でも一番つらかったのは頭がぼんやりして医学論文が書けなかったこと。結局、59歳まで6年間にわたって更年期障害を経験。これまで多くの女性患者さんを診てきましたが、私ほど重い更年期障害を体験した人には出会ったことがないです」 女性ならではの壮絶な苦しみを味わった経験を経て、天野先生は女性外来の創設を目指す。 「ホルモンに左右される女性の身体は特殊で、それに適した医療が必要だと痛感したんです。更年期障害が終わるころには頭も冴(さ)え、女性外来の実現に向けて本格的に活動を開始。60代は記憶力の低下などの老化現象は感じつつも、50代と比べて精神的にも身体的にもいい状態でした」