愛車の価格は購入時から10倍に高騰 父から「早く乗り換えろ」言われ続けて10年も「この車に憧れて車好きに」
「古すぎる」 家族を説得すること3年、ようやく…
自分が気に入った車を買うとき、家族の反応は気になるところだろう。特に年季の入った旧車は、説明しても理解を得られるまで高いハードルがあるかもしれない。埼玉県の松田亨さんは父親から10年にわたり「早く乗り換えろ」と言われながらも、貴重な愛車に乗り続けている。 【写真】貴重な愛車のハンドル周り、エンジンルーム、リアショット、実際の写真 松田さんの愛車は幼少期に憧れた1台だ。 3ドアハッチバックの1986年式サニー305Reニスモ。 自身がまだ幼児の時、日産ディーラーで親が買う予定だったモデルを大人になって手に入れた。当時、親が購入したのは86年式のサニーカリフォルニアで、弟のベビーカーが積めないことが変更の理由だった。車が自宅に納車された時は、「ハッチバックが来ると思っていた」と子どもながらに驚き、そのことを忘れずに記憶していた。 免許を取り、しばらくは親の車を借りて運転していた。そして15年ほど前、埼玉県の中古車店でサニー305Reニスモが売りに出されてるのを発見。「憧れだったからこの車が出てこなかったら(歴代)サニーのどれかを買おうと思っていた。諦めていたら偶然出てきた」と心は躍った。 一途に思い続けていた松田さんは、思いきって親に購入を直談判した。 ところが、反応は厳しいものだった。 「古すぎる」「サニーに乗るなら最新のサニーにしろ」 実車を見学させてもらい、写真を見せながら親に熱い思いを伝えたものの、快い返事はもらえない。特に日産系列の会社に勤務していた父からは厳しい批判を浴びせられた。 「最後は(年式は言わず)『日産サニーが欲しい』としか言わなかったです」。口説き続けること2~3年、ようやくゴーサインをもらった。「あ、マニュアルいいじゃない」と母の後押しが大きかった。 価格は35万円だった。交渉の末、実質25万ほどで購入。一方で、レストアや修理を重ね、これまでに使った金額は約300万円。部品取りのため同型の車をもう1台手に入れるほどの愛着を見せている。 「1人で乗る分にはちょうどいい。車中泊代わりに使える。軽井沢とかキャンプにも旅行に行きました。燃費が過去最高でリッター25出ている」 旧車とはいえ、想像以上の乗り心地と使い勝手に大満足。「UVガラスとかない。紫外線を全部通しちゃう。夏場はつらいのが欠点」と装備面では不十分な点もあるが、それを補う魅力に引きつけられている。個性的な1台はメディアの取材を受けることも多いという。