「仕事のやる気が出ない」「イライラする」これは病気?〝何となく不調〟男性更年期かも 専門家に聞く対策
男性更年期障害の症状と対策
テストステロンが急激に減少した場合、男性ホルモンという特性から、典型的な症状としてまず自覚しやすいのが「ED(勃起不全)」です。それ以外にも男性機能の低下がみられますが、影響はこうした性の悩みに止まりません。 「疲れやすい」「集中力が湧かず新聞や本を読むことができない」「なんとなくだるい」といった心身の不調が現れることがあります。こうした症状は、勤労世代であれば仕事にも影響するため、40代以降の男性が「仕事のやる気が出ない」というとき、それは更年期障害の症状ということも十分にあり得ます。 テストステロンの低下による症状をまとめると、精神的なものでは「不安/イライラする/不眠/記憶力や集中力の低下/性欲の減少」など、肉体的なものでは「筋力低下/疲労感/ほてり・のぼせ/発汗/頭痛/めまい/耳鳴り/頻尿」があるということです。 また、糖尿病や肥満、メタボリックシンドローム、骨粗しょう症、心血管疾患(動脈硬化・血管内皮機能の低下)などに関係するという研究結果もあるとします。 治療では、職場などのストレスのチェックや睡眠、運動や食事の習慣の改善が勧められます。「これだけでも多くの場合、症状は改善する」と堀江さん。それでも改善しない場合は、漢方薬やED治療薬、症状によって抗うつ薬などが処方されることもあります。 「こうした方法で改善しないか、著しく男性ホルモンの値が低く、症状が重いときには、テストステロン補充療法を行います。泌尿器科やメンズヘルスの専門外来を受診するとよいでしょう。ただし、男性の更年期障害の治療の主となるものは薬ではないと私は考えています。 ストレスが大きく関わる以上、それを解消したり、自分に自信を持てるようにならなければ、根本的には解決しません。職場の同僚以外の友人を作る、趣味や習い事を始めるといった活動が、男性の更年期障害の治療につながることは、ぜひ覚えておいてください。 更年期の『更』は布や革をピンと張ってたるみを取る意味があります。男性の更年期は自分を取り巻く環境が変わるとき。サッカーやラグビーのハーフタイムに相当すると言ってよいでしょう。この時期をうまく過ごしてはつらつとした毎日を送りたいものです」