離れて気づく歌舞伎町の“異常さ”――売り掛け廃止ですすきのに移転したホストの再出発 #ydocs
「余裕で3桁」大金飛び交う“すすきの”
2024年6月末、取材班が向かったのは歌舞伎町から約800km離れた、北海道・札幌市の“すすきの”。福岡・中州、新宿・歌舞伎町と並ぶ日本三大歓楽街として知られ、日本人のみならず外国人観光客も多く訪れます。 そんな観光地の一角に見えてくるのが、キャバクラやガールズバー、風俗…。そんな“夜のお店”が軒を連ねるなか、歌舞伎町から移転してきたホストクラブも、この“すすきの”で営業しています。 飲食店などが入った雑居ビルのエレベーターを上がり、いざお店に一歩足を踏み入れると…。キラキラした内装、音楽は爆音で流れ、店内は多くの女性客で賑わっています。それはまるで“歌舞伎町で見た光景”でした。 歌舞伎町の“売り掛け廃止”から約2カ月。ここ“すすきの”では廃止されていません。 この日は一人一人のその月の売り上げが決まる「締め日」。その月のランキングが決まるともあって重要な日です。それもあってかホストクラブ内は絶え間なくシャンパンコールが聞こえ大盛り上がり。 歌舞伎町で廃止された“売掛金制度”をすすきのでは、どう利用しているのか。すすきのの女性たちから聞かれたのは意外な声でした。 「もうちょっと金額あればラストソング(その日最も売り上げが高かったホストが閉店前に好きな曲を歌う、流すこと)を取れる日とかに2、3万円の掛けをする」 「売り掛けを利用して遊んでいたところもあるんですけど、そんな無理な売り掛けはしたことなかった」 歌舞伎町とは打って変わり、どの女性客も「ほとんど売り掛けをしたことがない」と口にします。それでもこの日のお会計最高額は“約400万円”。女性のバッグからは”帯の付いた札束“が出てきました。
離れて気づいた歌舞伎町の“異常さ”
禁止されていないにもかかわらず、この日の売り掛けはなし。このお店では普段から基本的に売り掛けがないといいます。 なぜすすきのではそもそも売り掛けが少ないのか。営業後に話を聞いたのは歌舞伎町のホストクラブで代表をしていた姫野さん。 「そもそもすすきののホストが、そんなにやる気がないので。やる気があったら歌舞伎町に行くので。その差なんですよね。みんな疲れているか、そもそもやる気がないか。俺の中でどっちかかなと思いますね」 歌舞伎町のように、女性を陥れてまで自分の売上を上げるホストがいない…。 すすきのでは歌舞伎町に比べ、店やオーナー側がホストへの要求が少なく、ナンバー1をホスト同士に過剰に競わせる事も少ないといいます。それが、売り掛けにつながっていないのではないかと考えています。 さらにこの約2カ月で感じたのが歌舞伎町の“異常さ”でした。 「もう上には上がいるので東京には。その上いこうと思ったら、頭おかしいことしなきゃいけなくなるんじゃないですかね。歌舞伎町はもう凄いやつが多すぎて、たぶん自分たちがみんな売上を上げたい上げたいってなって…。 あんなふうに女の子に立ちんぼさせたりとか風俗に落としたりとか。本来ホストではないことをしなきゃいけなくなるような状況に、歌舞伎町がそうさせてしまった」 億超えホストが、ごまんといる歌舞伎町。そこで勝ち抜いていくために“悪質ホスト”が増えたのではないかと指摘しました。そして最後に、こう締めくくりました。 「みんな間違っていますよね、自分のためしか考えてない。きっとみんなそういうふうに生きていかなきゃいけない苦しさに気付いてない。俺は札幌に来て少し落ち着きました」
「めざまし8」が追い続け、その後国会でも議論されることとなった「“悪質ホスト”問題」。 なぜ女性たちはホストに通うため体を売るのか?そして、売掛金廃止の動きの中、ホスト側の本音は? 日本特有の社会問題を日本一深く取材したフジテレビの番組が「令和の日本の夜」の実態を描き出します。 (※この記事はフジテレビと Yahoo!ニュース ドキュメンタリーの共同連携企画です。Yahoo!ニュース ドキュメンタリーが企画を採択し、パートナーが制作・編集しています。 #Yahooニュースドキュメンタリー #めざまし8 #フジテレビドキュメンタリー) (取材・文/めざまし8取材班)
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