ノーベル委員会が日本被団協を高評価 核兵器の懸念が高まるなか…海外でも注目
ノーベル委員長が語る…ノーベル平和賞授与の狙い
私たちは授賞式を前にした12月6日、ノルウェー・ノーベル委員会のフリドネス委員長に単独インタビューを行った。佐藤栄作元首相やアメリカのオバマ元大統領など歴代のノーベル平和賞受賞者の写真が飾られた、ノーベル研究所の一室の壁を丁寧に紹介しつつ、私たちがロンドンで働いていると話すとイギリスとノルウェーの冬の日照不足や寒さについて冗談を口にするような、とても気さくな人柄の人物と感じた。 日本被団協にノーベル平和賞の授与を決めた理由についてフリドネス委員長は、「(日本被団協は)数十年にわたり、世界中の人々に被爆証言を広める草の根運動を通して、核兵器は二度と使われるべきではないという認識を広めています」と高く評価した。 一方でロシアがウクライナ侵攻で核の脅威をほのめかしたことについて質問すると、丁寧な口調ながら、想像以上に強いメッセージを聞くことができた。 「私たち(ノルウェー・ノーベル委員会)は、世界の政治リーダーや特に核保有国のリーダーに対して、彼ら自身の義務である非拡散条約に取り組み、遵守する必要があるというメッセージを送ろうとしています。また、非核国に対しても、核兵器禁止条約に署名する必要があることを訴えています。核兵器から自由になるまでには、長く危険な道のりがあることを認識しなければなりません。しかしそれを必要な手続きを取らない理由にはしてはいけません。私たちは日本被団協の声に耳を傾けるべきであり、被爆者の声に耳を傾けるべきです。そして同時に私たちの政治リーダーたちに対し、核兵器のない世界に向けた必要な措置を取る責任を求める必要があります」(フリドネス委員長)。 授賞式を通して、「核兵器は二度と使用されるべきではないという認識を広めてほしいです」とも期待し、日本被団協へのノーベル平和賞授与によって、地球上で新たに核兵器が使われることを阻止したいというフリドネス委員長やノーベル委員会の強い意志を感じた。