ウクライナ軍の数少ないM1戦車、クルスク州で戦闘 北朝鮮兵とも交戦か
ウクライナ陸軍の第47独立機械化旅団は、米国から供与されたM1エイブラムス戦車が不足してきている。それでも残り数少ないエイブラムスは、ロシア西部クルスク州でウクライナ軍が8月以来保持する650平方kmほどの突出部の周縁で、ロシア軍の空挺部隊や海軍歩兵部隊と戦っている。北朝鮮部隊とも交戦しているかもしれない。 ウクライナの戦場記者アンドリー・ツァプリエンコは、第47機械化旅団に残っている十数両とみられるエイブラムスについて「非常に優れた働きをしている」と報告している。乗員はM1の分厚い防護と正確な射撃統制を高く評価している。 第47機械化旅団の2010年ごろ以降に改修されたM1が、クルスク州で最近戦闘に投入され始めた北朝鮮の歩兵とも衝突したのかは判然としない。ツァプリエンコは「戦車兵たちは撃破した敵部隊に北朝鮮兵も含まれていたのか、100%の確信はない」と書いている。「機関銃では敵の顔までは見えないからだ」 第47機械化旅団は、突出部北西周縁のノボイバーノフカ村のすぐ東で前線を維持している。ロシア軍の第56親衛空挺強襲連隊と第155独立親衛海軍歩兵旅団はノボイバーノフカ村から、道路を東へ1.5kmかそこら進んだ先にあるレオニードボ村を奪還しようと前進を試みている。 この道路やその分岐路は双方にとって非常に重要であり、危険でもある。光ファイバーを介して通信する最新ドローン(無人機)を飛ばすロシア軍の操縦士は最近、道路を走行していたエイブラムス1両を動けなくしている。ジャミング(電波妨害)を受けない光ファイバードローンは重量60t強、乗員4人のエイブラムスのエンジン格納部に繰り返し命中した。 米フィラデルフィアにある外交政策研究所のアナリストで、第47機械化旅団と連絡を取り合っているというロブ・リーによると、乗員たちは生き延びた。乗員のひとりは、ドローンは「わたしたちが中にいる間、砲塔も、車体のどこも貫通できませんでした」と語ったという。被弾したM1は工場で取り付けられた装甲のほかに、現地で追加された対ドローンネットと爆発反応ブロックでも防護されていた。