2025年はトランプ構文がわかれば意外に怖くない
■やっぱり気になる中国経済の元気のなさ 来年の世界経済見通しに話を戻そう。 2025年に気になるのは中国経済の元気のなさだ。成長率は高いのだが、政府目標の5%には届かない。IMFのエコノミストたちが、「オタクは無理ですよねえ」と言っているかのようだ。それだけではない。WEOデータベースの最新版を使って米中の名目GDPを比較するとこんな風になっている。 不動産問題で中国はデフレ気味になっていて、21年から名目の伸びがほとんど止まっている。いやもう、他人のことならよくわかるけれども、デフレってつくづく怖い。世界経済に占める中国のシェアがなんと低下しているのだ。
この間にアメリカ経済は盛大に規模が拡大し、世界シェアも微増している。 この調子でいくと、以前によく言われた「ドル建てGDPの米中逆転」は当分なさそうだ。ちなみにIMFは2029年までの予測値を出していて、その時点のアメリカ経済は35.5兆ドル(シェア25.4%)、中国経済は24.6兆ドル(シェア17.6%)となっている。習近平さんには悪いけれども、「建国100周年の2049年に中国は世界一の強国となる」という夢は、おそらく果たされることはないだろう。
いかにここ2~3年で、米中経済に差がついたかということだ。そして来年夏頃には、「第2次米中貿易戦争」が始まるだろう。アメリカは「アニマル・スピリッツ」、中国は「国進民退」である。どっちが有利であるかは、言うまでもないだろう。 ■2025年の日本経済はやっぱり「小吉」程度? 最後に日本経済について簡単に触れておく。 2024年の成長率が0.3%と下方修正されていることが気になるが、これは2024年1~3月期のマイナス成長――ほとんどが能登地震と自動車不正認証問題の余波である――の影響を受けたから。IMFは暦年ベースだから2024年の発射台が低くなったが、年度ベースで考えると内閣府の見通しが2024年度+0.7%、2025年度が+1.2%とまあまあの水準となる。