2025年はトランプ構文がわかれば意外に怖くない
「トランプの成長戦略には3つのチャネルがある。①Fiscal Stimulus(財政刺激策)、②Deregulation(規制緩和)、③Animal Spirits(アニマル・スピリッツ)――楽観度の平均、つまり消費者、住宅建設業者、中小企業、CEO のアニマル・スピリッツは過去最高レベルに達している」 いや、①と②はわかるけど、③はいったい何のことなのか。アメリカの企業家や消費者のマインドが好転するのは結構だけれども、彼らはトランプさんが仕掛けようとしている貿易戦争や過激な移民政策のリスクを感じていないのか?
そんな8年前の筆者の疑問をあざ笑うかのように、トランプ第1期政権下の株高は続いた。ゆえに「トランプトレードに逆らっちゃいけない」というのが教訓となるのだが、そのメカニズムについては今も釈然としないままである。 今回、第2期政権の発足を控えて、またもトランプトレードが始まっている。上記3大メリットのうち、①「財政刺激策」は今回も実現するだろう。共和党は僅差ながら上下両院で多数を握っており、「財政調整法」を使って予算案は楽に通すことができる。
第1期政権で実現した「トランプ減税」は、2025年末で失効することになっているけれども、2026年1月からは新たな減税が行われることだろう。トランプさんは法人減税や「チップ非課税」も公約に掲げており、どこまで踏み込めるかは興味深いところだ。 ②「規制緩和」も進むはずである。いちいち議会で法律を通さなくても、規制当局のトップを挿げ替えるだけで効果は出る。化石燃料の開発が進むから、国内的にはガソリン価格の低下というメリットもあるだろう。AI開発や自動運転、暗号資産などに関連する規制の緩和も進み、イノベーションを誘発することが期待できそうだ。
■トランプ構文がわかれば「またトラリスク」は怖くない そして問題なのが、③「アニマル・スピリッツ」である。これがわかりにくい。それでも過去にいろんな人たちに聞いた話を総合すると、要はこんなことであるらしい。「民主党政権が何年か続くと、税金やら規制やらESG(環境・社会・統治)やらDEI(多様性・公平性・包括性)やら、企業経営にとっての重荷が増えてしまうんだよ。それらがスカッとなくなると思うと、それだけで開放感があるんだなあ。トランプ政権に振り回されるのは、もちろん愉快なことじゃないんだけどね」