2025年はトランプ構文がわかれば意外に怖くない
師走である。投資家は来年の投資戦略を策定し、エコノミストは来年の経済予測を立てねばならない。2025年の場合は、ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領がいったい何をするのか、サッパリ読めないという点がまことに悩ましい。 IMFの世界経済見通し ■「トランプ2.0」を懸念していた? IMFの最新予測 来年の世界経済の見通しを立てる際に、ベンチマークとして好適なのがIMF(国際通貨基金)の世界経済見通し(WEO=World Economic Outlook、日本語なのでご安心を)だ。
四半期ごとに改定されるが、最新版は10月下旬であり、その時点で誰が次期大統領になるかはまだわかっていなかった。しかるに今回のWEOのテーマは、”Policy Pivot, Rising Threat”(政策の転換、高まる脅威)となっていて、すでに「トランプ2.0」を懸念していたようにもみえる。 以下、成長率予測の主要部分だけを抜き出してみた。 2024年から25年にかけての世界経済は、3%台前半で推移する見込み。ということは、あんまり晴れがましい水準ではない。
新型コロナウィルスによるパンデミック(感染爆発)はどうにか沈静化し、インフレも少なくとも先進国では収まりそうだが、世界貿易量の低い伸びがなんとも心もとない。そして世界は、ウクライナと中東という2つの戦争を抱えている。あんまり過大な期待を抱いてはいけない年であるように思える。実際にユーロ圏や日本、中国経済などは成長見通しが軒並み下方修正されている。 そんな中で目立つのがアメリカ経済の堅調さだ。今回も上方修正されていて、2023年、2024年と連続して3%近い成長を続けている。25年は2%台前半への減速が見込まれているものの、米連銀には利下げ余地があるからたぶん景気後退には至らなくて済むだろう。まことに恵まれた状況と言える。
そこへ飛び込んできたのが「トランプトレード」だ。ニューヨーク市場は株価が新高値を追っている。ドルの長期金利も上昇気味で、世界の為替市場ではドル高が進んでいる。「またトラ」リスクに怯える日本から見ると、なんだか理屈を超えた超常現象のように見えてしまう。 ■トランプ2期目も「3つのチャネル」は機能するのか? ここで思い出されるのが、トランプ政権第1期のことである。著名エコノミストのエド・ハイマン氏は2017年3月のレポートでこんなことを書いていた。