奇策?いや才能…超大型DFながらFW起用されアビスパ福岡の執念ドロー演出した20歳の三國ケネディエブスが面白い!
全員の陰性が確認されたが、スタッフはJリーグによる2週間ごとの公式PCR検査では陰性を示していて、練習以外は買い物など最小限の行動にとどめていた。それでも感染したショックに、29日に過去最多の101人の新規感染者を出した福岡県の現状が追い打ちをかける。長谷部監督が言う。 「感染した本人に責任はありませんが、福岡県も(感染者が)増えてきて、十分に注意していても感染してしまう現状は少し怖いというか不安があります。ただ、不安を打ち消すほどチームの雰囲気はいいですし、今日もあの時間帯で0-1になって、どうするんだ、というときに全員が残り時間に対して前向きに入っていった。我々のひとつのスタイルというか、いいチームだな、と感じました」 指揮官が感慨深げに「ひとつのスタイル」と言及した、どんな逆境でもあきらめずに戦う姿勢をゴールとともに具現化させたヒーローが三國となる。 「本職ではないんですけど、まずは試合に絡めて、負けそうな試合を引き分けで終われたことは、自分のなかで自信につながったと思う。これからは本職のセンターバックで試合にもっと絡んで、チームの勝利に貢献できるような選手になっていきたい」 プロの世界で生き抜くためにヘディングを磨き続けた。ディフェンスで相手にとって嫌なポジションを知り攻撃面に生かした。8試合を終えて総得点がわずか7で、複数得点をマークしている選手がいないアビスパの現状を見れば、今後もセンターバックとセンターフォワードの「二刀流」起用があるかもしれない。豪快な初ゴールを触媒として、逸材が放つ輝きが一気に増してくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)