侍Jの“日韓前哨戦”勝利は決勝へつながるか。敗れた韓国監督は「勝ってきた投手が出ていない」と不敵笑みも
野球の世界一を決める「プレミア12」のスーパーラウンド最終戦が16日、東京ドームで行われ、宿命の日韓戦で日本が韓国に10-8で勝利した。共に決勝進出を決めており勝ち負けの関係ない消化試合だったが、その前哨戦は両軍で計26安打の乱打戦となり、日本はここまで不振だった山田哲人(ヤクルト)、丸佳浩(巨人)、會澤翼(広島)らが復活、14安打の猛攻で10点を奪い韓国を振り切った。両軍は共に主力投手らを温存し手の内を見せなかったが、日本の前哨戦勝利、スーパーラウンド1位通過は果たして17日の決勝へどうつながるのか。運命の決勝のプレーボールは17日19時だ。
3時間40分の死闘
時計は午後10時半を回っていた。 「交通機関の最終時間にお気をつけてお帰り下さい」の場内アナウンス。勝ち負けの関係ない消化試合は、意外にも4万4224人の満員のファンを集め、死闘になった。 数々のライバル物語を紡いできた日韓戦。イチローとダルビッシュが躍動した2009年WBCの決勝戦、4年前の前大会準決勝での土壇場の逆転敗戦……宿命の対決は、本番のファイナルを翌日に控える“前哨戦”でも、ただでは終わらなかった。 2回にクビの怪我からスタメン復帰した菊池(広島)が先制点を奪うも3回にファン・ジェギュンの一発ですぐさま同点にされ、その裏、3番抜擢の丸が、「サインで」と自らも生きる絶妙のバントまで見せて、打線をつなぎ、四球を挟む脅威の6連打で一気に6点を奪い7-1とリードを奪うも、韓国はギブアップはしなかった。 4回に先発の岸(楽天)から2本の二塁打を含む、6安打集中のお返しをして5点を奪い1点差に迫ったのである。 「少し点差が開いたが、ヒットがつながるにつれ(韓国は)ベンチが盛り立てる。そこに何かやってくるんではないか、というものをこれまでの戦いを見ても韓国に感じる。勢いに乗せないようにしっかり切り替えをやっていきながら明日は戦わねばはならない」と稲葉監督。 取られたら取り返す。5回、途中出場の甲斐(ソフトバンク)がライト前ヒットで出塁すると、同じく途中出場の外崎(西武)がバントで送った。目覚めた山田がレフトへタイムリー二塁打、二死となって丸もライト線にタイムリー二塁打で3点差とした。しかし、韓国は突き放しても食らいついてくる。 7回には、二死一塁からのショートゴロ二塁封殺に1試合1度しかできない「チャレンジ」を申し入れ成功すると、消化試合要員として先発機会を得た20歳のカン・ベクホがフルカウントからセンター前へ。 山岡(オリックス)の異彩を放つスライダーをファウルで粘りながらタイミングを計り適応したのである。 その打球に突っ込んだ丸が、間一髪、打球を処理できず弾いてしまった間に、2者が生還し、再び1点差に詰め寄ってきた。 だが、日本は、その裏、最速152キロを投げてきた、今季韓国リーグ35セーブのコ・ウソクから送りバントを絡め3つの四球から近藤(日ハム)が押し出しの死球となり貴重な追加点を奪う。そして、大竹―田口の巨人リレーで逃げ切った。 決勝の戦いを暗示させるかのような3時間40分の死闘だった。