侍Jの“日韓前哨戦”勝利は決勝へつながるか。敗れた韓国監督は「勝ってきた投手が出ていない」と不敵笑みも
実り多きプレ決勝戦だった。 「雑にいかないでいこうと。送るところを送って、これまでの野球をやっていこうと。バントを含めて進塁打(のサイン)も出した」 乱打戦となったが、稲葉監督は、3つのバントのサインを送って成功、手堅さ、緻密さという日本野球の特徴を再確認した。盗塁も2つ。韓国は正捕手ではなかったが、機動力も確認した。 5回には一死満塁のピンチに韓国がライト線のフライで同点となるタッチアップを仕掛けてきたが、鈴木→外崎の華麗な中継プレーで阻止。鉄壁の守りも韓国へアピールした。 なにより眠っていた打者が目覚めたことが大きかった。 打席数が少なく打率.071だった山田が2本の二塁打と犠飛を含め2打点、打率.150だった丸が「なんとかチームに貢献したかった」と3安打。打率.133だった吉田(オリックス)にも2本のヒットが出て、打率.182の會澤も2安打した。何より、坂本―丸の巨人ユニットの2、3番を初めて使い、機能した。 稲葉監督も「勇人、丸の2、3番コンビを試した。どういうつながりを見せてくれるのかと打順を組んだが、シーズン中にやらないバントを丸がやってくれて、いいつながりを見せてくれた。明日はヒョンジョンが先発で来る。どういう打線で攻略できるかを考えていきたい」という。坂本は、また足の上げ方を変えていて苦悩の真っただ中からは抜け出ていないようだが、二塁打も放ち気分的にはよくなったのだろう。 稲葉監督は、決勝でどんな打順を決断するのか。 「当たってきた選手が増えてきた。明日をどう戦っていくか。打順を考えていきたい」 ガラっと8人の打順を変えたメキシコ戦の際には、当日の昼間に「ひらめいた」。稲葉監督に再び野球の神が降りてくるのだろうか。 韓国の起亜タイガースで今季16勝8敗、防御率2.29で防御率タイトルを獲得した先発、ヤン・ヒョンジョン、11年も前の北京五輪時代から日本に立ちはだかってきたベテランのキム・グァンヒョンは、いずれも左腕。おそらく1、2番は、山田―坂本で落ち着くのだろうが、3番が対左でも丸なのか、メキシコ戦のときと同じく浅村なのか。また、この日、先発で唯一ヒットの出なかった松田(ソフトバンク)に代え、外崎を三塁で使うのか、など稲葉監督の最終決断にも決勝の行方は左右される。 一方、日本の先発は山口俊(巨人)だが、甲斐野、山本、山崎の3人につなぐまでには、アンダーハンドの高橋礼(ソフトバンク)、メキシコ戦で好投した左腕の今永(横浜DeNA)もスタンバイさせる。稲葉監督も「そこも含めて伝えてある。全員で戦っていく」と明かした。