【ABC特集】地球温暖化で「スーパー台風」再び? 6年前に関西各地で甚大な被害 未来の危機に立ち向かうには
数は減っても…“スーパー台風”に変貌する恐れ
②地球温暖化で、台風の数は、どう変わるのか? (中北教授)「台風の発生する個数は減ります。台風であろうとサイクロンであろうと、南の海上で起きる回数は減ると予測されています」 台風は、海の上で発生した上昇気流により、次々と積乱雲が作られて、発達していきます。温暖化が進むと大気が安定し、気流の上昇や下降が起こりにくくなるので「台風の数は減る」と予想されています。
③温暖化が進むと台風の強さはどうなるのか? (中北教授)「スーパー台風と呼ばれる非常に強い台風。大きいわけではないが、強い台風になると。将来は台風の発生数とか、日本に来る回数は減る可能性がある中で、いったん来たら、台風が生まれたら、すごい台風になる恐れがある」
台風がもたらす、恐ろしい「風」と「雨」の被害。6年前の台風21号は、まさに“スーパー台風”でした。猛烈な風をともなった『風台風(かぜたいふう)』でした。
また、過去には『雨台風(あめたいふう)』も関西に被害をもたらしています。 (記者リポート)「鴨川の河川敷が水に覆われました。あの段差のあたりに、普段はカップルや親子連れが腰を下ろしています」 11年前、2013年9月、近畿地方を襲った台風18号。京都府の桂川や由良川が決壊し、京都府と滋賀県で住宅約6300棟が浸水しました。
温暖化でより警戒すべきは“高潮災害”
さらに、地球温暖化で台風が強くなると、警戒すべき被害がもうひとつあるといいます。 (中北教授)「スーって海を吸いながら台風が来るんですけど、吸う力がものすごく強くなるので、高潮がもっと盛り上がるようになる」
『高潮災害』。高潮とは気圧の低下に伴い、海面が吸い上げられるように上昇して起こります。 6年前の台風では潮位が3mとなり、六甲アイランドが浸水し、コンテナ火災や船の乗り上げなどの被害が出ました。
“17兆円の被害”を防いだ3つの大型水門
高潮は、大阪の街にも迫っていました。 しかし、3つの「大型水門」が3mもの高潮をせき止め、大都市を守ったのです。 国は「約17兆円の被害が出る恐れがあった」と報告しています。