球界大御所がOP戦勝ち星無しの阪神に喝!「必要なのは我慢と教育と練習」
巨人OBで元西武、元ヤクルト監督の“大御所”広岡達朗氏は、「もう福留、糸井、鳥谷らのベテランに頼っているようではダメなんだ。今の時期に若手にチャンスを与える起用法は間違っていない」と、矢野監督のオープン戦の戦い方を支持しながらも、こう警鐘を鳴らす。 「今、阪神に必要なのは我慢と教育だ。人材はいないのではなく作るもの。目立つ若手が出てこないのは教育と練習ができていないのだ。矢野は、我慢して選手を固定して起用していく必要がある。若手もそうだが、新外国人をクリーンナップで使うつもりなら特に今の時期から我慢して固定して使わねばならない。そして最も重要なのが、練習と教育。まずコーチが勉強して徹底して若い選手を教育すること。若い選手には、自主性を進めるのではなく、コーチがつきっきりで教育して練習させることだ。私は沖縄キャンプを見ていないが、若手のバットスイングを見ていると“練習しているのか?”と疑いたくなる。 古い話で恐縮だが、川上さん(元巨人V9監督で故人)は、この時期に打てなければ、試合後に徹底して打ち込ませた。それも投手を何人か指名して打撃投手として投げさせた。そこまでするとバッターも責任を感じるようになるんだ」 矢野監督は沖縄キャンプでは「競争と自主性」をテーマにしていた。だが、スコアラーあたりからは「金本前監督の3年間に比べてガタっと練習量が落ちているように見えた」という話も聞く。 広岡氏が指摘するように自主性と言えば聞こえはいいが、まだ実績もなく向かっていく方向性さえつかめていない若手にそれを求めるのは危険なのだ。 「私は投手力のしっかりとしている阪神は今年のセ・リーグのペナントレースの中では巨人よりも面白い存在になるのではないか、と期待している。それだけに若手の野手が今レベルアップしていかなくてはいけない」 辛口の広岡氏が珍しく阪神にエールを送る。確かにメッセンジャー、西、ガルシアと揃った先発3本柱は、セ・リーグの中でも抜きん出ている。そこに勝機があると“大御所”は踏んでいるのだ。 阪神のオープン戦は、まだ12試合残っている。これを“まだ”と捉えるのか、“もう”と捉えるのか……まるで高校生に言うような広岡氏の「我慢、教育、練習」の奥にあるメッセージを阪神の首脳陣と若手選手は読み取る必要がある。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)