韓国・富川国際ファンタスティック映画祭 2024、5つの注目ポイントを振り返り!
ほかにも気になるマスタークラスが。香港の巨匠ジョニー・トーは『柔道龍虎房』(2004)の4K修復版の上映後に開催した。 監督自身が最も愛しているという同作品は、黒澤明の『姿三四郎』への少々屈折したオマージュであり(冒頭に黒澤明に捧げると字幕が出る)、柔道と音楽で人生を切り開こうとする若者たちの話だが、今の香港にはないぶっ飛んだ解放感がある。「当時、感染症SARSで香港が大変な状況にあったため、それを励ますようなものを作りたかったから」とのこと。
映画の中では1970年に日本で放送されたドラマ版「姿三四郎」の主題歌が繰り返し流れるが、これについては「今では香港でも韓国ドラマが人気だが、1970年代の香港では日本のテレビドラマが大人気だったんだ」。主演のルイス・クーも共演のアーロン・クォックも当たり前だが若い!
ちなみにルイス・クーとアーロン・クォックは、香港の歴代興行収入記録を更新した『TWILIGT OF THE WARRIORS: WALLED IN(原題:九龍城寨之圍城)』(2024)にも出演しており、今年のBIFANのクロージング作品にも選ばれた。これについてジョニー・トーは「個人的には好きじゃないけど、良い映画だと思うよ」と笑わせた。最終日に監督ソイ・チェンは来ているので、この話は伝わったのだろうか?!
柳楽優弥、人気を知らしめる!
BIFANことプチョン・ファンタで最も人気が高く、韓国に続いて上映本数が多いのは、実は日本映画。 中でも注目を集めたのが、柳楽優弥主演、堤幸彦監督の『夏目アラタの結婚』のワールドプレミアだ。乃木坂太郎のベストセラー・コミックの映画化で、柳楽演じる夏目アラタは連続バラバラ殺人事件の犯人である死刑囚・品川真珠(黒島結菜)に、ある目的のため獄中結婚を申し出る、というミステリー。
5日の上映後、大きな拍手を受けてステージに姿を見せた柳楽優弥。韓国では是枝裕和監督がとても人気があり、監督の『誰も知らない』に主演し、2004年のカンヌ映画祭で14歳にして主演男優賞を受賞した柳楽優弥に対しての注目度が非常に高い。上映会場にもプラカードを持つファンの姿が。 観客から「カンヌ受賞から20年経って、生きる上でのこだわりはありますか?」との質問。柳楽は、「一生懸命に、コツコツと生きること。14歳の時に『誰も知らない』でカンヌで受賞して、16歳で堤監督と初めて『包帯クラブ』という作品で出会い、18年後に再会できました。地味かもしれないけど、夢に向かってコツコツ進みたいです」と語った。