新宿二丁目の“深夜食堂”54年目に閉店を決意ーー名物ママ、りっちゃんが思う人生の引き際 #ydocs
1年半取材した中で一番 大盛況となった最後の夜
2023年9月30日。 クイン最終日には、翌日有給をとった会社員や自分の店を抜けてやってきた店主や店員など多くの常連客が、りっちゃんと孝道さんを笑顔で送り出そうと小さな店に詰めかけた。 年齢も職業も性別もバラバラな人たちだが、客同士の距離は近く、一緒になって飲んで笑っている様子はまるで同窓会のようだった。 普段であれば米2キロ、ビール70本で足りるところが、この日は米5キロ、ビール120本が5時間で完売。酒屋に追加注文をかける事態となった。 りっちゃんと孝道さん。二人が築き、長年守ったクインという小さな場所は、知らない人同士がつながることができ、それぞれが人生を紡いでいく上で一休みできるオアシスだったことがよくわかる光景だった。 そして、たくさんの常連客に惜しまれつつ、クインは閉店した。
やりたいことは全てやったからこそご縁を大切に生きていきたい
閉店から2ヶ月ちょっと経った12月のある日。りっちゃんはクインがあった場所を訪れていた。 新たに開店するピアノバーのマスターを激励するためだ。 バーの店内には、クインの面影はもはやない。そんな空間にいるりっちゃんはどこか寂しげにも見えたが、「婆さんが長居すると、店の雰囲気を壊すな」といつものりっちゃん節で言うと、颯爽と店を後にした。 クインが閉店してからのりっちゃんと孝道さんは、週に1度、夫婦で体操教室に通い、孫とのショッピングを楽しんでいる。そして現在も月に数回、クインの常連客だった人たちの店に足を運んでは、大好きなモスコミュールを嗜む。 「新宿二丁目は人生の楽しみが溢れた街」 りっちゃんはそう語る。そして、言葉通り、今も新宿二丁目で人生を謳歌している。 この記事はフジテレビ「ザ・ノンフィクション」とYahoo!ニュース ドキュメンタリーの共同連携企画です。 #Yahooニュースドキュメンタリー #令和アーカイブス
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