「自分の葬式をイメージして」夢がなく惰性で生きる人生に不安を抱く27歳に、がんを患った50代男性が伝えた真意とは
いのちの喜ぶ生き方を
日々の生活に夢がなく、無味乾燥な状態が続いている。そんなあなたに、吉川宗男先生の言葉をもうひとつプレゼントします。 「いのちの喜ぶ生き方をする」 どういうことでしょう。先生は説明してくれました。 駅で、階段とエスカレーターがある。エスカレーターを使った方が便利だ。 しかし、そこで考えてみよう。 どちらの方が、いのちが喜ぶか。 階段は大変だけれど、生きていく筋肉や神経のためには、階段を使った方がいい。ならばそっちを選択する道を選ぶんだ。 これは日々の生活にも応用できます。 「2つの仕事は、どちらがいのちが喜ぶだろうか」 「ここで休むのと、このままやり終えるのと、どちらがいのちが喜ぶだろうか」 こんなふうに「いのちの喜ぶ生き方」を、ものごとを判断するモノサシにするのです。その「いのちの喜ぶ」選択が、いくつか集積してきたときに、あなたのいのちが喜ぶ本当の生き方、夢が見つかるのではないでしょうか。
「夢がない」というレッテルを剥がそう
自分がこの世を去るときに、どんな人間でありたいか。それを考えるのも「夢」です。 同時に、「いのちが喜ぶには、一駅歩いてみようか」と考えて、小さな一歩を踏み出す姿を想像することも、私は「夢」だと思います。 とかく「夢」というと、「あんな仕事をしたい」「こんな地位につきたい」と考えがち。また、現実とかけ離れた遠い将来のことと思ってしまいます。 しかし、夢ってもっと身近なところにあるものなのかもしれません。 あなたが「人生を消化している」と書いている時間の中にも、「休みに何をしたい」とか「今、どんな気持ちでいたい」とか、夢のかけらがたくさん落ちているはずです。 それに気づき、「昨日より今日がちょっといい」と感じられた程度のことでも、立派な「夢の実現」ではないでしょうか。 「夢がない」というレッテルを剥がして、「どうしたら私のいのちが喜ぶかな」と考える。そんな小さなところから、夢のある生活は始まるのだと思います。 自分の時間を大切に。 ひきたよしあき スピーチライター、コミュニケーションコンサルタント。(株)SmileWords代表。大阪芸術大学放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。元(株)博報堂クリエイティブ・ディレクター。政治家、行政、大手企業のスピーチライターとして活躍し、現在は企業や各種学校をはじめ、JFA(日本サッカー協会)、浄土真宗本願寺派などでも講義。世代間のコミュニケーションギャップ、価値観や言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力を高める方法を伝授している。教育WEB「Schoo」、朝日小学生新聞WEB「みんなをつなぐ新聞」などでも人気を博している。『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)他著書多数。 ひきたよしあき著/江夏潤一イラスト 協力:辰巳出版 辰巳出版 Book Bang編集部 新潮社
新潮社