名スカウトのドラフト採点。狙いが不透明だった巨人、阪神。
中でも最も将来性に重点を置いたのがソフトバンク。6人全員が高校生だ。楽天も、将来重視型ではあるが、野手、とりわけ内野手、捕手に照準を当てた。 「ソフトバンクは、チームが出来上がっているから、こういう3年先、4年先を見据えたドラフトができる。高橋は、下半身を含めて体がまだ出来上がっていないので、1位だからと無理して使われる球団に取られなくて良かった。 楽天は、『このドラフトでゼロからのチーム作りをスタートさせる』という球団のビジョンが見える。固定できないで苦しんでいる内、外野の選手をここから作って行こうと考えているのだろう。オコエ、茂木、吉持は、いずれも走力が飛び抜けた選手。機動力を兼ね備えた将来へ向けてのチームビジョンがわかる。ピッチャーは取っておいて損はないが、例年出てくるもの。楽天のスカウト陣の決断の成否は、すぐには出てこないが、徹底したことは評価に値する」 片岡氏が、今ドラフトで疑問を投げかけたのは、巨人、阪神、ヤクルトの3球団。特に巨人、阪神は、まったくテーマや狙いが見えない不透明なドラフトだという。 「トリプルスリーの山田を軸に野手の揃ってきたヤクルトの補強ポイントはピッチャーだったはずだが、外れ1位の原は、隠し玉なのだろうか。即戦力ピッチャーを他に取っていないのもよくわからない。もっとわからないのが、巨人と阪神だ。立命大の桜井は4年生になって急成長したピッチャーのようだが、乱暴な指名に思える。早大の重信、慶大の山本と、2人も大学生の野手を獲得したが、そのあたりの狙いもよくわからない。また育成を8人も獲得して、そのうち7人が独立リーグの選手で、うち4人が武蔵ヒートベアーズの選手。近年独立リーグの選手の評価が高まっているが、この指名の仕方には違和感を覚える。 また阪神は、ヤクルトと競合してまで明大の高山を指名したが、左の率を稼ぐタイプの外野手が、今のチームに必要なのだろうか。ポスト鳥谷を準備しておかねばならないはずなのに内野手の指名もゼロ。2位で指名した明大のキャッチャーは、この順位でなくとも獲得できただろう。ドラフトのビジョンが不透明なおかしなドラフトである」 あくまでも片岡氏が独断と偏見で総括した2015年のドラフト採点。本当の採点結果は数年先に出る。かつての名スカウトは、今年も、一番、最後に自虐的に、こう付け加えた。 「ドラフトは結果がすべて。5年後に答えがある。私も含めスカウトの目なんて所詮、節穴なんだ」。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)