シュツットガルト入団の18歳逸材DFチェイス・アンリはJリーグ未経由海外移籍のジンクスを覆すことができるのか?
アンリを逸材と見込んだからこそ、シュツットガルトも急がば回れの方針で育てる。 DFアントニオ・リュデイガー(29、チェルシー)やMFジョシュア・キミッヒ(27、バイエルン・ミュンヘン)、FWティモ・ベルナー(26、チェルシー)らのドイツ代表をはじめとする数多くのスター選手を輩出。育成の“名門”として名高いシュツットガルト入りするアンリへ、前出のクリュッケン氏はクラブ公式ホームページ上でこう語っている。 「アンリが私たちのコンセプトと、U-21チームを通じてさらに成長する道筋を選んでくれたことを心から嬉しく思っている」 晴れて正式メンバーに選出され、3月下旬に臨んだU-23ドバイカップを制したU-21日本代表には、ともにJクラブを経由せずにヨーロッパへ挑んだ柏レイソルU-18出身のGK小久保玲央ブライアン(21、ベンフィカ)とジェフ千葉U-18出身のDF内野貴史(21、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)がいた。 小久保はベンフィカのU-21から昇格したBチームでゴールマウスを守り始め、内野は3月にブンデスリーガ2部でデビューを果たしている。順調に成長している2人の先輩の姿も、シュツットガルトのU-21から挑戦するアンリを勇気づけたはずだ。 登録期間の関係で7月からスタートとなる契約は、期待の大きさを物語るように複数年が結ばれた。ただ、ジュビロ磐田から昨夏に期限付き移籍でシュツットガルトへ加入したDF伊藤洋輝(22)の評価が、開幕を控えたキャンプ中に一気にはね上がり、当初予定のBチームからいまではトップチームの主軸に定着している例もある。 父親の母国アメリカで幼少期の約9年間を過ごした関係で、英語にはまったく困らないアンリは、ドイツでの挑戦を念頭に置いてドイツ語のレッスンも受けてきた。森保ジャパンの不動のアンカー、MF遠藤航(29)がキャプテンを務めるシュツットガルトを舞台に、さまざまな可能性を秘めたドラマが幕を開けようとしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)