シュツットガルト入団の18歳逸材DFチェイス・アンリはJリーグ未経由海外移籍のジンクスを覆すことができるのか?
1シーズン目で8ゴールをあげた平山は、新監督の構想から実質的に外れた2シーズン目の開幕直後の2006年9月に突然退団。移籍したFC東京でプレーした10年半で33ゴールをあげ、ベガルタ仙台に所属した2017シーズンを最後に引退した。 33歳の伊藤は今シーズンはJ2の横浜FCに所属。29歳の宮市は度重なる大けがに苦しめられながらもヨーロッパで10年半プレーし、昨年7月からは横浜F・マリノスでプレーしている。30歳の長澤は名古屋グランパス、25歳の渡邊はFC東京、同じく25歳の小池はマリノスにそれぞれ今シーズンは所属している。 ヨーロッパで長くプレーし、結果を残した元日本代表選手は、例えばMF中田英寿はベルマーレ平塚、MF中村俊輔はマリノス、MF本田圭佑は名古屋、MF香川真司はセレッソ大阪、FW岡崎慎司は清水エスパルスからそれぞれ旅立っている。 キャプテンのDF吉田麻也(33、サンプドリア)をはじめ、森保ジャパンの常連を担うヨーロッパ組や元ヨーロッパ組も、全員がプロの第一歩をJリーグで踏み出している。まさに前例のない挑戦を決意したアンリは、サッカー人生の究極の目標を「チャンピオンズリーグ優勝」と公言するなど、常に目標を高く掲げてきた。 3月上旬に千葉県内で行われた、2024年のパリ五輪への実質的なスタートとなるU-21日本代表候補合宿へ“飛び級”で抜擢された際には、こんな言葉を残している。 「自分の目標は世界一のセンターバック。この世代は海外でやっていける選手が多いし、だからこそ自分が中心選手にならないと。いまのままじゃ全然ダメだなと思う」 目指す頂が高くそびえ立っているからこそ、あえて茨の道を選んだ。アンリの心意気に応えるように、シュツットガルトも成長を促すプランをオファーに含めた。 来たる2022-23シーズンはU-21チームの一員として、4部リーグにあたるレギオナルリーガを主戦場とする。中学生でサッカーを始めたアンリは当初任されたフォワードに限界を感じ、中学2年で志願してセンターバックへ転向している。 キャリアが浅くても年代別の代表に“飛び級”で抜擢され、1月のA代表合宿にはトレーニングパートナーを務めた。森保一監督はその意図をこう説明した。 「すべてにおいてポテンシャルが高いし、身体的にも技術的にもまだまだ伸びる。ここに来てもらうということは、将来的にA代表の可能性もあるということ」