日本の女性医師の割合は23% OECD加盟国で最下位…増えたらどうなる?
Dr.イワケンの「感染症のリアル」
身近なインフルエンザや帯状疱疹などから、海外で深刻なエボラ、マラリアなどまで、感染症の予防や治療などについて、神戸大学教授のイワケンこと岩田健太郎さんが解説します。 【写真4枚】体力が落ちたと思ったときに…筋力アップ まずは20秒から
本稿執筆時点で、神戸大学大学院医学研究科の女性「教授」は2人しかいません。カギカッコをつけたのは「教授」の数え方にもいろいろあるからです。その話をすると長いのですが、さして面白い話でもないのでここでは割愛。神戸大学には女性リーダー育成推進室があり、女性の活躍、登用に取り組んではいるのですが、実質的な成果をあげているかと問われれば、「あげていない」と考えざるをえません。
健康面では世界1位に引けを取らない
日本では、女性が社会で活躍するのが難しい状態が続いています。2024年のジェンダーギャップランキングで日本は146か国中118位。これは東アジアの韓国(94位)、中国(106位)を下回る悲しい成績です。 ジェンダーギャップランキングは政治参画、経済参画、健康、教育の4部門からカウントされるランキングです。ご存じのように、日本の女性は世界で最も健康寿命が長いです。 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-1-02.html というわけで、「健康」面においてはジェンダーギャップランキング1位のアイスランドにも引けを取りません。同様に教育面でも日本は健闘していて、国際平均を大きく上回っています。 https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html 日本で男女差が激しいのは、政治部門と経済部門というわけです。日本は世界的に見ても、健康や教育面では男女差が小さいのですが、社会におけるリーダーにはなりにくい、と考えてもいいでしょう。
東大「女子枠」設置に反対する人
先日、東京大学の入試で「女子枠」を設立するかどうかの議論を耳にしました。そのときに「女子枠」に強く反対したのが、東大在学、あるいは卒業された女性だったのだそうです。ぼくがSNSで目にした反論では「自分はこんなに頑張って東大に入ったのに、女子枠の学生が入ったら自分の価値が下がってしまう」というものでした。 ぼくは、現在の日本社会においては「クオータ制」(quota system)、あるいは「女子枠」みたいな仕組みは非常に有効だと思っています。それは個々人の評価といった「ちっちゃい話」ではなく、もっと大きな、例えば「東京大学の価値向上」といった話です。 そもそも、「東大卒業」が自分の価値の証しというのが情けない。18歳かそこらの知能の高さはもちろん高い価値を持ちますが、人間の価値全体で言えば本当に小さなものです。 30代、40代と年齢を重ねていったとき、その人の価値を測る基準は「今の自分」以外にはありません。勉強でも、スポーツや音楽、その他の領域の世界でも「かつて神童と呼ばれていました」みたいな呼称は少しも褒め言葉ではありません。それは「なのに今は……」という人をおとしめる目的で使われているに決まっているのです。「いま、ここ」だけが大事なので、「東大に入った価値」みたいな(比較的)小さなことにいつまでもこだわっていては、ちゃんとした大人にはなれません。