ファイトマネー推定3億円に東京ドーム進出プラン!井上尚弥が描く12月国内開催予定の4団体統一戦での「バンタム最高傑作」
まだ井上はバトラーの映像を詳しくは見ていない。だが、「なんとなくの雰囲気はわかっている。これから照準を合わせてイメージしていく」という。 「技術的な部分は、バトラー対策として考えていく。ドネア戦では、減量、リカバリーがうまくいった。そこは維持したい。ただもっとスムーズにやりたいことが出せるように練習で課題をみつけていく」 元3階級制覇王者の“激闘王”八重樫東トレーナーの指導で取り組んでいる肉体改造は、ちょうどバトラー戦で1年となる。その部分での上積みも計算に入れたいという。 大橋会長も「リズムが違うから」とのバトラー対策として、初めて欧州からスパーリングパートナーを呼ぶプランがあることを明かした。 井上には、もうひとつの戦いがある。 「ドネア戦以上の結果はない。あれだけのパフォーマンスを見せ、それだけ次も期待されることを重々承知の上で挑む。最高の自分をさらに超えなければならない」 ドネア戦の自分を超える内なる戦いである。 ――4団体統一戦でバンタム級の井上尚弥の最高傑作を見せたいのか? そう問うと井上では「そうです」と、力強くうなずいた。 練習後に囲み取材の時間が設けられ、井上は、そこでプロ論を展開させた。 「お客さんやファンの目線を無視して、ただ勝つ試合は楽ですよ。リスクを冒す戦いをせずに、つまらない試合でポイントを稼いでの判定勝ちはいくらでもできる」 たとえば、4団体統一を狙う技巧派のバトラーにリスクを負わない試合を選択すれば勝利はたやすい。しかし、井上は、「プロとしてその戦い方は自分のスタイルではない」と断言するのだ。 大橋会長も、そのバンタム級の集大成にふさわしい条件を用意することを明かした。 「すでにファイトマネーは史上最高額だったけれど、さらに次も最高額となる」 ドネア戦のファイトマネーが2億円オーバーとされているが、今回は、推定3億円のビッグマネーとなる。日本だけでなく、世界的に見ても、軽量級のクラスで、この額は破格だ。 井上も、このファイトマネーの価値をこう位置づけた。 「ライトフライ級で初めて世界を取ったときには、(ここまでファイトマネーが上がるとは)思ってもいなかった。プロ(ボクサーを)目指す子供たちに、世界チャンピオンになりたいと思う以外にも夢を見させてあげたい。そこまでいけば、そういうファイトマネーをもらえるのかと夢を与えられる。今の流れはすごくいい」 そのファイトマネーを生み出しているのが、急速に動き始めた有料配信の流れだ。19日に東京ドームで開催された格闘技の那須川天心vs武尊戦は地上波がなく、ABEMAでPPV配信されたが、50万件もの契約件数があった。一般販売は5500円。単純計算すると約27億円の売り上げである。 大橋会長は、「他競技だが、これまで日本では“ない“とされていたPPV市場を顕在化した大きな出来事だった。ボクシング界にとっても水先案内人となる」と、その流れを大歓迎した。 そもそもは井上が昨年12月のアラン・ディパエン(タイ)との国内凱旋試合で地上波ではなく、本格的なPPVを始めたのが、有料配信時代の幕開けだった。 井上も「時代がガラっとほんとに早い流れで変わっていくんじゃないですか」という。