なぜ権威あるリング誌は井上尚弥を世界最強ボクサーの称号であるPFP1位に選出したのか…5票vs4票の僅差
プロボクシングのWBAスーパー、IBF、WBC世界バンタム級王者の井上尚弥(29、大橋)が10日(日本時間11日)、世界で最も権威のある米ボクシング専門誌「ザ・リング」が選出するパウンド・フォー・パウンド(以下PFP)で1位となった。PFPは、ボクサーが全員同じ階級で戦ったと仮定すれば誰が一番強いかをランク付けしたもので、まさに世界最強ボクサーの証。各メディアが独自に選出しているが、リング誌が毎月更新するPFPがイコール「世界の正式PFP」という見方をされている。 井上は自身のツイッターを更新。「日本人がこれまで誰も辿り着けなかった場所まで来た。」(原文まま)と投稿した。これまでの日本人ボクサーの最高位は、井上の2位で、前回3位だった井上は、1位だったヘビー級のWBAスーパー、IBF、WBO世界3団体統一王者で、元クルーザー級の4団体統一王者のオレクサンドル・ウシク(35、ウクライナ)、2位だったWBO世界ウェルター級王者のテレンス・クロフォード(34、米国)を抜き、偉業を達成した。
「日本人がこれまで誰も辿り着けなかった場所まで来た」
ついに我らがモンスターが「世界最強ボクサー」の称号を得た。リング誌が毎月更新しているPFPで井上が1位にランキングされたのだ。日本人史上初の快挙だ。 7日にさいたまスーパーアリーナで行われた3団体統一戦で井上は元5階級制覇王者で、4団体すべてのベルトを巻いたことがありボクシング殿堂入りが確実視されているノニト・ドネア(39、フィリピン)を2回TKOでキャンバスに沈めた。1回終了間際に右のクロスで1度目のダウンを奪うと、2回には滅多打ちにして最後は左のフックで仕留めた。今回のPFP1位は、激闘が予想された再戦で衝撃のTKO勝利を飾った試合が評価されたものだ。 井上は、これまでもPFPに対しては、「目指して1位になれるものじゃないし、それは後からの評価としてついてくるもの。ただ、それは世界的な評価となるし、1位になれるようなインパクトのある試合を見せていきたい」と語っていた。 大橋ジムを通じて、「歴史と権威あるアメリカ『リング誌』のPFP1位に選出されました。一つひとつ積み上げてきた事がこうして評価された事はボクサーとして光栄です。この栄誉に恥じない為にもまた一つモチベーションが上がった。次戦4団体統一に向けてまた頑張りますので期待していて下さい」とのコメントを発表した。言葉通り、世界最強と認められた評価は、感慨深いものになったに違いない。 リング誌では、パネリストによるランキング決定会議を毎月開き、9人のパネリストの投票によりランキングを決定しているが、そのパネリストの一人であるトム・グレイ氏が、詳細に選考経緯を記事にした。 投票結果は井上が5票、ウシクが4票の僅差での決定で、グレイ氏は「投票結果が示すように、これは簡単な選考ではなかった」と明かした。 グレイ氏は、「ドネアとの再戦の勝利は虐殺のようだった。私たちのほとんどは井上の勝利を予測していたが、ここまでの一方的な打撃を予想した人はほとんどいなかった。ドネアは39歳だが、年齢は問題ではなかった。私の個人的な見解として井上のこの勝利を見る限り、1位に値するものだった」と、井上に1票を投じたという。