このままでは「第2の大谷翔平」は現れない…欧州移住でわかった「自己肯定感の低い日本人」が量産されるワケ
なぜ生きづらさを感じてしまうのか。『自分に嫌われない生き方』(KADOKAWA)を書いた谷口たかひささんは「日本は『義務』を教えがちで、自分を縛り付けることにつながっている。ヨーロッパのように“やっていい”という考え方が大事だ」という――。(第1回) 【図表】「義務脳」と「権利脳」 ■日本は「義務」を教えるが、「権利」は教えない 私は環境活動家として100カ国以上を訪ねているのですが、ヨーロッパのある教育機関を訪問したときに、「日本では、義務は教えるが、権利は教えない」と教えてもらいました。初めてこの言葉を聞いたとき、雷に打たれたような気持ちになりました。 それまでに自分が感じていた疑問のほとんどが、この言葉に集約されている気さえしました。今でも、自分の人生で聞いた言葉の中で、自分に影響を与えた言葉ベスト5に入っています。 ---------- ①「やらないといけないこと」 ②「やってはいけないこと」 ---------- 日本では、物心ついてからというもの、家庭でも、学校でも、社会でも、この2つ(①あーしなさい! ②あれはダメ!)ばかりを人から言われ続けるといいます。 そうすると、その人の脳は「義務脳」という頭の半分が「やらないといけないこと」で、残りの半分も「やってはいけないこと」でいっぱいいっぱいになり、とても生きづらくなるそうです。いわば、「減点方式」。 こども家庭庁の「国別の自己肯定感」によれば、日本の自己肯定感は、諸外国に比べて低いという調査結果が出ていますが、これが大きな要因であることは間違いないかと。 一方でヨーロッパは、「権利」、「やっていい(やらなくてもいい)」ということをとても大切にするといいます。あなたの人生はあなたのものです。義務を果たすために生きているロボットではないのだから。いわば、「加点方式」。 ■自分は「やりたい」のか、「やりたくない」のか 日本には、「義務」で自分のことを縛りつけて生きていく人がとても多いように思えます。 そうではなくて、自分の「自由」と「権利」を尊重し、他の人ともお互いの「自由」と「権利」を尊重し合い、ありたい自分であろうとすることが大切かと。そんな人が自分から増えていったときに、自分も周りもとても明るく楽しくなると思います。 また何かに取り組むときも、「やらないといけない」と自分に言い聞かせ、義務で取り組む人がいます。私は、これはしないようにしています。必ず、しんどくなるから。 それに極論、「しなくてもいい」と思っています。自分にムリヤリにでも何かをさせることができるのは究極、自分自身以外にはいません。だから誰に何と言われようとも、「やらない」という選択肢はいつでも残されているのです。 それよりも大切なのは、自分は「やりたい」のか、「やりたくない」のか──。 私は社会問題と呼ばれるものに取り組み続けていますが、「やらないといけない」と思ってやっているわけではありません。自分が「やりたい」からやっているのです。他の誰でもなく、「あくまで自分で選んだ道である」ということを、自分で潔く認めることが大切だと思うのです。