ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度
「まるでヒトラーのビデオを見ているよう」
だが、この時点で多くの韓国国民は、尹大統領を「戒厳令を振り回すアブナイ権力者」とみなしていた。そんな人物がこのような熱弁を振るったところで、国民感情には響かない。むしろ「鬼の形相」をした大統領が30分近くも熱弁を振るうのを見て、「やっぱりこの人、ヤバいよ」と、火に油を注いでしまったのだ。 私が韓国の友人に聞いたら、「まるでヒトラーのビデオを見ているようだった」と述べた。実際、前述の韓東勲「国民の力」代表は、この演説の後に、「もうダメだ、(弾劾訴追案に)賛成しよう」と与党議員たちに呼びかけた。 そして14日18時、弾劾訴追案は国会で可決された。その報告が龍山(ヨンサン)の大統領執務室に届けられたら、大統領は職務停止となる。
5度目の談話
同日18時半、尹錫悦大統領は、テレビカメラの前で5回目の談話を発表した。この「最後の談話」は、全文を訳す。 「尊敬する国民の皆さん、今日、国会が弾劾訴追を採決するのを見ながら、私が初めて政治への参加を表明した2021年6月29日を思い出した。この国の自由民主主義と、法の支配は壊れていた。自営業者の絶望と 若者の欲求不満が、国中に広がっていた。その熱烈な国民的な志(こころざし)を持って、私は政界入りした。それからは休むことなく全力で取り組んできた。 大統領になって現場の人々に会った時、中小企業の経営者や自営業者が前政権の消極的な政策のために喘(あえ)いでいるのを、若者や一般の人々が不動産ローンのために嘆いているのを見た。しかし、その困難な状況を冷静に聞き、少しずつ問題を解決していった時、何よりも幸せを感じた。 輸出が復活するにつれ、経済は活力を取り戻し、少しずつ温かさが広がっていったのは心強いことだった。崩壊した原子力発電所の生態系を回復し、原子力発電所の輸出を実現した。私たちは、将来に必要な4つの主要な改革を必死に進めたが、以前の政府は選挙に負けることを恐れて実行できなかった。国民のために考え、推進してきた政策が行き詰まったとき、私は胃の調子が悪くなり、夜も眠れなかった。 韓国・米国・日本の協力関係を回復し、世界外交の視野を広げるために、日夜努力した。韓国No.1の営業マンの肩書きを身にまとい、世界中を旅して結果を出した時、言葉では言い表せないほど大きな満足感を感じた。私は疲れを忘れて、韓国の国際的地位が高まり、安全保障と経済が強くなっていくのを見ていた。 いまや、辛いが幸せだったやりがいのある旅が止まってしまった。私の努力が無駄になることが悔しい。私はいま立ち止まるが、この2年半、この国の人々と共に歩んできた未来への旅は、決して止まってはならない。 私は決して放棄しない。私に向けられたすべての叱責、励まし、そして支援を心に抱きながら、最後の瞬間まで国のために最善を尽くす。 公職者の皆さんにお願い申し上げたい。大変な時期だが、皆さんには自分の立場を貫き、揺らぐことなく役割を果たしてほしい。私は、皆さんが大統領代行を中心に協力し、国民の安全と幸福を守るために最善を尽くすことを強く求める。 そして政界にお願い申し上げたい。いまや暴走と対決の政治から、熟議と配慮の政治に変えられるよう、政治文化と制度を改善することに、関心と努力を傾けるよう願う。 愛する国民の皆さん、私はわが国民の底力を信じている。われわれ全員が、大韓民国の自由民主主義と繁栄のために力を合わせよう。ありがとう」 以上である。私はYTNの生放送で見ていて、とてもよいことを述べていると感じた。「5つの談話」の中では秀逸だ。