開幕1軍入りアピール競演に成功した西武ドラ1宮川と中日ドラ3岡野は社会人の東芝時代ダブルエース。それぞれの思いを胸に競い支え合う
その宮川は9回にマウンドに送られた。 最初の打者、渡辺勝に対しては151、152キロのストレートを連発させた。最後は151キロのストレートでバットに空を切らせた。京田には不運なポテンヒットを許したが、続く武田は、縦に独特の放物線を描くカーブでピクリとも反応させなかった。 辻監督が「独特の変化球。バッターにしてみればびっくりするような球だったと思う」と絶賛したカーブである。 4人目の福田は、初球から、そのストレートに狙いを絞ってきたが、芯で捉えることはできずにショートゴロ。この日、8球を投じたストレートは、すべて150キロを超えていた。 キャンプは太ももに張りを訴えるなどして2軍スタートとなり出遅れた。だが、新型コロナによる開幕延期が宮川にとっては幸いした。 辻監督は、宮川の開幕1軍を明言した。 「良かったと思う。十分(1軍で)いけると思っていますよ。どんどん自分の持ち味が出てきている。起用法? 中(ブルペン)で考えています。十分に戦力になると」 6連戦が続く今季のタイトなスケジュールを考えるとブルペン強化は必須課題。東芝では岡野と共に先発起用されてきたが、平均で150キロを超えるストレートと、キレのある変化球を兼ね備えるピッチングスタイルは、セットアッパー、クローザー向きだろう。 試合後、宮川は、広報を通じて以下のコメントを出した。 「全体的には良かった。直球、変化球ともにコントロール、球の精度を上げようと練習してきましたがそれをマウンドで出せたと思います。直球も指にかかったボールを投げることができました。ただ、その中でも球が高かったり、カーブが抜けることがあったところが修正点です。実戦を重ねる中で抑えれば自信になりますが、まだまだ数が少ないので(笑)。この状態を継続できるように頑張っていきます」 岡野は先発、宮川はセットアッパー。 それぞれ所属リーグも生きる道は違うが、開幕1軍という目標は同じだろう。互いの存在は、時には同志として時にはライバルとして刺激となって競い合い、支えにもなる。ドラマを抱えたルーキーたちの2020年シーズンが始まろうとしている。