開幕1軍入りアピール競演に成功した西武ドラ1宮川と中日ドラ3岡野は社会人の東芝時代ダブルエース。それぞれの思いを胸に競い支え合う
西武対中日の練習試合が5日、メットライフドームで行われ、2人のルーキーが開幕1軍入りのアピールに成功した。中日のドラフト3位、岡野祐一郎(26)が先発して4回を投げて1失点4奪三振にまとめれば、西武のドラフト1位、宮川哲(24)は9回に登場、最速152キロをマークし1回を無失点2奪三振に抑えた。実は2人は同じ社会人・東芝の先輩と後輩。リーグも立場も違えど、それぞれの思いを胸に開幕1軍を目指しての競演となった。
山賊打線を三者連続三振
計算された演出ではない。偶然が重なって東芝時代にダブルエースとして都市対抗の頂点を目指した2人のルーキーが、この日、違うユニホームで同じマウンドに立った。 先発したのは中日のドラフト3位の岡野である。 圧巻は2回。2年連続本塁打王の山川を打席に迎えても冷静な“野球脳“が冴えた。上げた左足を一度、止める二段モーション。145キロのストレートとカットボールを低めにポンポンと集めカウントを作った。だが、3球目に突如、クイックモーションを使いスライダーを外角低めに投じたのである。山川は、思わず、でかかったバットを止めたが、塁審はスイングと判断。三振を取った。 「自分は足を上げて止まる(フォーム)。山川選手が足を引いて待っているように見えたので3球目はクイックでタイミングを外そうと思った。考えながら投げて抑えることができたんじゃないか」 続く“アップルパンチ“外崎にはストレートで押す。追い込んで最後はフォーク。ワンバウンドになるようなボール球だったが、ストレートと違わぬ腕の振りに歴戦の外崎がつられて、ここでもハーフスイング。 3人目。“おかわり君“との対決では、さらに岡野が存在感を示す。3-1の不利なカウントからストライクを続け最後は144キロのストレートで勝負。インハイのボールに本塁打王6度の中村のバットが空を切ったのである。山賊打線の主軸を相手に堂々の三者連続三振。3回には、3連打されて1点を失い、二死一、三塁とピンチを背負ったが、ここでも昨年の打点王の森に真っ向勝負を挑む。この日、最速タイの146キロを表示したストレートで押し込むと森は天を仰いだ。高く上がったショートへのフライ。結局、岡野は、4回を投げて66球、被安打4、1失点、4奪三振の内容だった。 与田監督は、「非常にテンポが良かった。体全体を使ってボールを低めに集めることができていた。ボールカウントになったとしても非常に惜しいボール。感じは良かった」と高く評価した。 ローテー入りに関しては「これから決める」と明言を避けたが、吉見、梅津、山本らと争う4枚目から6枚目のローテー入り候補に急浮上したと言っていい。 ストレートは144キロから146キロだが、そのほとんどを低めに集めカットボールとほぼ同じ球速のフォークボールがあって、それをコントロールできるからゲームを作れる。即戦力の名に恥じない実戦向きだ。