イプシロンロケット2号機打ち上げ準備状況説明会(全文2)高性能でコンパクト
イプシロンのこれから
さて、ご説明長くなりましたけれども、最後、イプシロンのこれからということで少しお話ししたいと思います。イプシロンは今年度、国の方針として基幹ロケットに指定されて、今後H-IIA、H-IIBロケット、それから新たなH3ロケットと連携しながら、日本の宇宙開発利用を盛り上げていきたいというふうに思うんですね。 実際その中身はどうなっているかというと、こんな感じで、まずJAXAミッション。これは、基本計画の工程表にも書かれているんですけれども、1つはこれまでどおり科学衛星とか、惑星探査機、月惑星探査機をしっかり打っていきましょうということで、頻度としては2年に1回ぐらいのペース。それから革新衛星プログラムというのがあって、これは別途、皆さんにご紹介がずいぶん前にあったんですけれども、要はイプシロンでもって小型衛星、それから超小型衛星、それからCubeSat、そういうものを相乗りの形で、たくさん複数打っていこうというプログラムがあって、それがだいたい2年に1回ぐらいのペースであるというふうに工程表にも書かれているんですね。で、結果として、だいたい平均すると年1機はJAXAミッションとしてイプシロンが貢献していく。 もう1つは先ほどからお話ししていますけれども、海外の動向等をいろいろ調べてみると、今後、小型衛星の需要っていうのがどんどん増えていくだろうと。そういった世界の中で、今回イプシロンの2号機というのは、強化型イプシロンという形で打ち上げ能力は上がって、それから搭載スペースも広がって、より大きな小型衛星というのを上げられるようになる。この機体を使って、どんどん国内外の、JAXA以外の利用衛星等を獲得していきたいというふうに考えていて、数年先には年2機ぐらいのペースで打てるようになったらいいなということで、今、われわれ準備を進めているところですね。 さて、ほとんどもう最後に近いんですけれども、今、私が申し上げたことを図で表すとこんな形になっていて、試験機から2号機に向けて能力向上の開発が行われて、強化型イプシロンという名前で、そろそろ飛んでくと。一方で、相乗り機能というのは先ほど申し上げました革新衛星プログラムですね。小さな小型衛星、1機ではなくて、超小型衛星あるいはCubeSatみたいなものをまとめて打っていく。そのために相乗り機能というのを今、開発しようとしてるんですね。 それから、大事なことを1つ先ほど私、言い忘れましたけれども、今回の2号機において性能を上げてコストを下げる。いわゆる高性能、低コストの技術に挑戦して2段目のロケットを新しくつくりましたっていう話をしましたけれども、これは単に2段目のロケットが新しくなるだけではないんですね。その技術というのがH3ロケットのサイドブースター、SRB-3と呼んでいますけれども、その開発に生かされるんですね。今度、一方、H3ロケットの開発が終わるとSRB-3という、より低コストのサイドブースターが製品として完成する。それを今度はイプシロンの1段目に使おうというようなことも考えてるんですね。このようにH3ロケットとイプシロンというものの開発が完全に連動して行われるということを象徴的な言葉としてシナジー開発というふうに呼んでるんですね。 要はイプシロンの開発とH3の開発っていうのを効率的に有機的に連動させていきましょうということを考えていて、いよいよ最後のスライドですけれども、例えばH3ロケットの新たなサイドブースター、これはSRB-3と呼ばれていて、今のSRB-Aよりおそらくは低コストになると思うんで、イプシロンの1段目に使うといいこといっぱいありそうなんですね。 ただ、現在の計画ではこのSRB-3っていうのは燃焼ガスの出口であるノズルが固定式なんですね。そのほうが構造がシンプルで値段が安いから。だけどイプシロンはこれを1段目に使おうとしてますから、ノズルは前後左右に動かないとまずいんですね。動かすことによって姿勢を制御して、軌道を誘導していく。そういうことが必要なんで、ノズルを可動化するという開発が必要なんですけれども、H3開発の中で行われる燃焼試験というものを1回ぐらい可動式で行ってもらうことによって、イプシロン用の燃焼試験はやらなくて済むんではないかなというようなことも考えてるんですね。このように実際、開発期間とか開発コストという観点で、それぞれの開発を有効にマージしようというふうに思ってるんですね。 さてちょっと久しぶりのお話なんで長くなってしまいましたけれども、最後に2号機用にビデオを作ってありますので、それを皆さんにご紹介いただいて終わりにしたいと思います。はい。さっきのをもう1回。もうすぐスタートすると思います。 男性(VTR):4、3、2、1、0。 森田:これはさすがに試験機の映像ですね。これは1段目ですね。これは内之浦のM組立室といいまして、ロケットの各段の組み立て、制御を(※判別できず)ですね。これは秋田県能代市の燃焼試験の様子です。今のが3番ロケットですね。これがノーズフェアリングですね。これが試験機と今回の2号機の機体を比較したものですね。より大きな小型衛星が載るようになりました。3段目はスピン安定(※判別できず)。 はい、ご清聴ありがとうございました。それでは私のご説明はいったん終わりにしたいと思います。ありがとうございます。 【連載】イプシロンロケット2号機打ち上げ準備状況説明会 全文3へつづく