「薬草料理」ってどんな味? 岐阜・飛騨市で納涼会席を!
話はそれるが、飛騨の名物である「朴葉味噌(ほうばみそ)」の発祥は、こちらの旅館である。もともと酒のつまみに味噌を丸めた団子を出していたが、昭和29年(1954年)の火事の後、祖母が宿の新名物にと考えたのが朴葉味噌だったという。 「もし祖母が商標登録しておけば……いまごろ、お金がたくさん……くっ!」という、つぶやきを地獄耳の私はキャッチしてしまったが、北平さんは口で言うほど悔しくなさそうだ。 なにしろ、市民に薬草の魅力をもっと知ってほしいとNPO法人「薬草で飛騨を元気にする会」を立ち上げ、家庭用にアレンジした薬草料理のレシピを市の広報誌などに提供することもある北平さんだ。そのどれかが郷土料理になって広まって皆が儲かったとしても、「くっ」と言いつつ内心ほくそえんでいるのだろう。「今度は泊ってくださいね」と見送ってくれた仲よしご夫婦に手を振って蕪水亭を後にした。 ──第2回に続きます── 取材・文/白石あづさ