兄弟の関係性は母親のタイプで変わる?教育に厳しい場合、兄と比較された弟が陥る精神状態とは
◆兄が母親代わりのパターン (2)母親が多忙で両親共に家を留守にしがち 両親が共働きで、母親が仕事をバリバリこなすタイプだと、兄弟だけで過ごす時間が長くなります。そうなると、必然的に兄が母親の代わりを務めることになるでしょう。 兄は友達と一緒に遊ぶときに弟を連れて行くなど、あれこれ弟の面倒を見るようになります。一方、弟は優しい兄を慕い、兄の言うことをよく聞く存在になります。 母親は兄に対して、 「弟の面倒を見てくれてありがとう」「弟の世話をするなんてえらいね」 こんなふうにねぎらいの言葉をかけるかもしれません。 もちろんそれは悪いことではないのですが、兄は自分の甘えたい気持ちや弱い気持ちを抑圧して、「犠牲者」になりがちです。 大人になっても面倒見は良いものの、自分のことを後回しにしてしまい、誰かのために自分を犠牲にする行動パターンが定着してしまうのです。
◆母親が依存的だった場合 (3)母親が精神的・肉体的に弱い 母親が精神的・肉体的に弱いと、兄弟は共に母親を助けようと競争するようになります。 ここで「母親を助ける」とは、文字通り家事を手伝ったり、母親の面倒を見たりということもありますが、「何でも自分でやって、手のかからない子になる」「勉強を頑張って母親を安心させる」といった行動も該当します。 母親が弱くて依存的な分だけ、兄弟の自立度は高くなるでしょう。 どちらもヒーローになって母親を救うために頑張るのですが、その点は早く生まれてきた兄が有利なケースが多いものです。 しかし、兄はそうして早くに自立した分だけ弱さを内に抱えることになり、結果として、精神的に弱い一面を持つことになります。 ※本稿は、『兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか』(WAVE出版)の一部を再編集したものです
根本裕幸