15年ぶりの火星大接近、初心者はどんな望遠鏡を選べばいいの?
7月31日の「火星大接近」まで、あとわずかの日数になりました。またとない観察のチャンスとあって、「天体望遠鏡を買って火星を見てみたい」と考えている方もいるでしょう。どのような天体望遠鏡が初心者に使いやすいのでしょうか? 東京都台東区にある望遠鏡の専門店「シュミット」を訪ねました。
望遠鏡を構成する3点セット
秋葉原電気街の北の少しはずれ、東京メトロ銀座線「末広町」駅近くに「シュミット」があります。店内には、大小さまざまな天体望遠鏡が立ち並んでいて、2万円台の細長い望遠鏡から、なかには20万円を超える大砲のような望遠鏡も。筆者は天文ファンではないので、どの天体望遠鏡が初心者に適しているのか、まったく見当がつきません。 「初心者の方には、対物レンズの直径が80~90ミリ、焦点距離1000ミリ前後の屈折望遠鏡をよくおすすめします。価格は3~4万円台で、架台や三脚もセットされています」。自身も天文ファンだという店長の橋本友浩さん(52)は、そうアドバイスをします。 セット製品? 望遠鏡だけではだめなのでしょうか? 橋本さんによると、天体望遠鏡は、望遠鏡本体である「鏡筒」と、取り付けた鏡筒を自由に動かせるようにする「架台」、架台を支える「三脚」で構成されています。この3点セットが大事なのだとか。
高倍率を売りにした安い望遠鏡には注意
まずは鏡筒選びのポイントから。鏡筒には、凸レンズを使った「屈折望遠鏡」と反射鏡を使った「反射望遠鏡」の2種類があります。「屈折望遠鏡」の方が「反射望遠鏡」よりもメンテナンスが簡単で、初心者にも使いやすいのだそうです。 焦点距離が1000ミリ、対物レンズの直径が90ミリであれば、アイピース(接眼レンズ)と組み合わせて、火星の北極や南極にある白いドライアイスのほか表面の黒い模様が観察できると言います。 ネットショップなどで、高倍率を売りにした安い望遠鏡をみかけますが、天体望遠鏡には「適正倍率」があります。直径80~90ミリの対物レンズなら、適正倍率は最大で160~180倍。いたずらに倍率を上げても、ぼやけて見えにくくなるだけなのだそうです。