15年ぶりの火星大接近、初心者はどんな望遠鏡を選べばいいの?
次に架台と三脚のポイントです。三脚は写真撮影でも親しみがありますが、架台という道具はあまり耳にしません。架台は、鏡筒を取り付けるだけでなく、天体を追いかけるために必要不可欠な機構なのだそうです。 天体は常に動いています。そのため、天体が望遠鏡の視野から消えていかないように、天体を追わなければなりません。初心者におすすめの架台は「経緯台」と言い、動きを水平方向と仰角方向に微調整できるようになっています。 三脚は、重量のある望遠鏡と架台をがっちりと支える必要があるので、丈夫な製品を選んだほうが良さそうです。お客さんのなかには、鏡筒だけを購入して架台は買わず、手持ちのカメラ用三脚を使う人もいるそうですが、「非常に大変で疲れやすいですよ」と橋本さんはおすすめしていません。
思いをめぐらせながら天体望遠鏡をのぞく
なるほど、いろいろと知識は得られたものの、なかにはスマートフォンで望遠鏡を動かせる魅力的な製品もあり、どれを選んだらよいのか迷うばかりです。 値ごろで購入しやすく、かつ性能面でも火星の観察が可能という観点から、橋本さんが具体的におすすめするのは、Sky-Watcherというメーカーの「AZ-PRONTO 90S」というセット製品。鏡筒に架台と三脚込みで、2万9800円(税抜き)。初心者向きとはいえ、本格的な印象を受けました。水平方向と仰角方向に微調整できる経緯台も、実際に操作させてもらいましたが、とてもスムーズに動きます。 橋本さんは「火星は私たちにとってなじみのある星です。地球によく似ていて、北極や南極があるほか、大気や雲、四季も存在します。そういうことに思いをめぐらせながら天体望遠鏡をのぞくと、火星の印象が違ってきますよ」と話していました。 (取材・文:具志堅浩二)