なぜ、船が転覆したのか? 『三重県 鳥羽市の「漁船転覆事故」』では2人が死亡、1人が行方不明 小型船の「転覆」は 突然起こって、重大な人的被害をもたらす!
三重県鳥羽市での小型船舶の転覆事故
本日24日の早朝、三重県鳥羽市にある答志島の沖合で、転覆した漁船が見つかった。この船には男性2名、女性1名の3名が乗船しており、男性2名の死亡が確認。女性1人が行方不明となっている。 鳥羽海上保安部によると、現在、行方不明者の捜索と同時に、事故原因を調査している。
海の事故は、はっきりとした原因が解明されないケースも多い
陸上の事故と違って、水の上では「現場検証」が非常に難しい。同じ水面は二度とないし、タイヤのスリップ痕のような状況証拠も残りにくい。 船の乗員が無事なら状況を聞けるだろうが、そうでなければ、「いつ何が起こったか」すら分からない。 今回の鳥羽の事故でも、夜に出港した船が朝になって発見されたため、転覆時間すら分からないそうだ。 転覆した船の船首が傷ついていたそうなので、何らかの事情で岩礁にぶつかったのではないかと推測される。
船の事故の中で、最も悲惨な結末となる一例が「転覆事故」である
船が転覆したら、一度に多くの死者・行方不明者を出す大惨事となることが多々ある。 一般的に転覆事故は、衝突や岩礁などへの乗り上げの二次的な被害として発生することが多い。波のうねりによるものや、船自体に突然ヒビが入り、浸水して転覆した事例もある。 転覆は、波の高い荒れた海で起こると思われがちだが、意外にも、「海は穏やかで波もなかった」という事例も少なからずある。今回の事故でも、海が荒れていたという報告はない。 その場合、「うねり」が要因であることも考えられる。 転覆事故には、「うねり」が大きく関わっているといわれている。
波がなくても転覆するのは「うねり」があるから
一般的に「波」とひとくくりにされるが、実際には「風浪」と「うねり」の2種類がある。 「風浪」は、その場所で吹いている風によって起きた波のこと。 「うねり」とは、離れた場所で発達した風浪が、余波となって伝わって来た波のこと。 「うねり」は、現在地とは全く関係ない場所で吹いた風の影響を受ける。 そのため、「風浪」の方向と「うねり」の方向が逆になっていたり、2つ以上の「うねり」が異なる方向から来ることもある。天候によっては「風浪」と「うねり」が混在することもある。 問題は、沖では「うねり」が分かりにくいこと。 「風浪」は白波が立つのでどこに波があるのかすぐに分かる。強い風が吹き、「風浪」と「うねり」で沖合が荒れていたら、出港を見合わせるだろう。 「うねり」は波頭が丸みをおびて小山のように伝搬して来るため、沖では目立たない。 天気が良くて、風や波が穏やかに見えても、危険な「うねり」が潜んでいる場合がある。 ベテランの船長でも、いつ「船の転覆」という憂き目にあうか分からないのだ。
命を守る「2つの“武器”」
自分の命を守るためにも、船に乗るときは、「ライフジャケット」と「携帯電話」を忘れずに身に着けてほしい。 携帯電話があれば、救助要請もできるし、GPSで居場所を知らせることもできる。防水用のケースに入れておけば、海に浮かんでいても使用できる。 ライフジャケットは、生存率を高める「命綱」だ。 船に乗る場合、どれだけ注意していても、偶発事故に遭遇するケースがある。乗船する際は、安全性の高いライフジャケットの着用と携帯電話を忘れないように!
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