スズキ元会長・鈴木修氏「悪性リンパ腫」により逝去 前兆となる“3つの初期症状”を医師が解説
自動車メーカー「スズキ」で社長や会長を務めた鈴木修相談役が「悪性リンパ腫」のために亡くなっていたことが報じられました。94歳でした。 【イラスト解説】悪性リンパ腫を発症すると起こる「首のしこり」の特徴とは 悪性リンパ腫は血液のがんの一つで、病気のタイプによって様々な症状が表れます。今回、悪性リンパ腫の前兆となる3つ初期症状を医師の杉山先生に解説していただきました。悪性リンパ腫の特徴を理解し、早期発見に努めましょう。
「悪性リンパ腫」とは?
悪性リンパ腫は、白血球の1つであるリンパ球ががん化する血液がんです。リンパ球が存在する「リンパ系組織」にはリンパ節、胸腺、脾臓、扁桃といった臓器が含まれ、身体を病原体から守る役割を担っています。悪性リンパ腫はこれらのリンパ系組織の他、全身のあらゆる部位にできうるため、症状が出現する部位もさまざまです。本記事ではどんな時に悪性リンパ腫が疑われるか、悪性リンパ腫が見つかった時にどんな検査・治療をするのか解説します。
大人の悪性リンパ腫の前兆となる初期症状
■首や脇の下のしこり 悪性リンパ腫の初期症状として、首や脇の下にしこりが見られることがあります。これは、リンパ節が腫れていること(リンパ節腫脹)による症状です。悪性リンパ腫によるリンパ節腫脹は一般的に痛みを伴いません。リンパ節腫脹は悪性リンパ腫のみならず、いろいろな原因で生じます。よくある原因は風邪や扁桃腺炎に伴うリンパ節腫脹です。 風邪症状や咽頭炎に伴うリンパ節腫脹であれば様子を見れば、そのうち自然と良くなります。何週間もずっとリンパ節が腫れていることが気になる場合や、首や脇の下、鼠径部(太ももの付け根の溝の内側部分)などのしこりがだんだん数が増え大きくなってきていることに気づいた場合は医療機関を受診しましょう。悪性リンパ腫の専門診療科は血液内科です。まずはかかりつけの内科を受診してください。リンパ節腫脹の原因は色々あります。悪性リンパ腫について詳しく調べる必要がある時は血液内科へ紹介してもらいましょう。 ■発熱 発熱は「B症状」と呼ばれる悪性リンパ腫の代表的な症状です。発熱はウィルスや細菌に感染して起きることが多いですが、検査をしても原因が見当たらない場合は悪性リンパ腫を含む他の原因についても考えます。 今起きている発熱が悪性リンパ腫のせいなのかどうか判断するのは非常に難しいです。医師は熱のパターンや、発熱以外の症状や所見、検査データなどを総合して、熱の原因を評価します。 ■皮膚のかゆみ 悪性リンパ腫、特に皮膚リンパ腫では皮膚のかゆみが生じることがあります。皮膚リンパ腫で最も多いのは菌状息肉症(きんじょうそくにくしゅ)と呼ばれるタイプです。最初は湿疹や乾燥肌のような、かさかさした赤みが身体に出てきます。この時点ではかゆみがあまりないことが多いです。その後、病気が進行すると皮膚に特徴的な盛り上がりが出てきてかゆみが生じます。また、全身が真っ赤になる紅皮症という状態になることもあります。アトピー性皮膚炎と似ていることがあるため、このような症状が出現した時には皮膚科を受診してください。必要に応じて血液内科に紹介してもらいましょう。