コンビニで進む「レンジでチン」革命――もうおでんは1日で捨てない
「レンジアップおでんの利点は、これだけでもないんですよ」 こう言うのは、ファミマのファストフーズ部おでん担当・佐々木高行さんだ。 「加盟店のオペレーション負荷の削減もできるんです。鍋おでんは、おでんダネを鍋に入れる仕込みの時間があります。つゆのつぎ足し業務もあります。一日の終わりには鍋の洗浄も必要になってきます。もちろん、より簡易的にできるようにパッケージの開封を簡素化するなど、さまざまな工夫を施しておりますが、人手不足もあり、こういった業務が難しくなってきた加盟店もあるため、レンジアップのおでんで解決したかった」 佐々木さんが言うように、コンビニ店員を取りまく労働環境は変わってきた。レジまわりの業務は、昔に比べると複雑化している。ネット通販の荷物の受け渡し、増え続けるキャッシュレスの支払い対応等もある。レジ横のメニューも増え、例えば揚げ物やコーヒーの販売もある。そのかたわら、レジ前のおでんのことを気にするのが難しくなった店もあるだろう。
レンジアップおでん――。発売から2カ月経ったいま、全国1万6千店舗あまりある加盟店のうち、約7千店舗がレンジアップおでんを販売し、約4千店舗が鍋おでんをやめている。また直近の動きとしては、パック入りの手軽さが好評で「持ち帰って、自宅のレンジで温めて食べたい」という客の声が予想外に大きくなってきたことから、「2月末からは、パック入りのまま販売できるようにした」(ファミマ広報)という。
レンジでチン後、その場で食べられる
業界で進むレンジでチン革命は、おでんに限った話ではない。他のフードにも波及している。たとえば冷凍食品だ。賞味期限が長い。冷凍庫での保存なら1年持つのがほとんど。フードロスを減らせるし、店にとっては何度も発注する手間が省け、検品回数だって減らせる。店舗のオペレーション負荷の軽減につながる。 そして何よりも冷凍技術の進歩でおいしさ、メニューのバリエーションが増えた。コンビニ各社にとっては、新しい市場を開拓することにもつながっているのだ。