猫は人間の赤ちゃんより賢いことが判明 では犬と猫ではどちらが賢いのか専門家に聞いた
今年10月、麻布大学の研究チームが、猫と人間の乳児の学習速度を比較した研究結果を発表した。 ■【画像】本当に賢いのは犬、猫どっち? 狩猟能力で軍配が上がったのはこちら■ 「31匹の成猫(1歳~1歳半以上の猫)を対象に、人間の乳児向けに設計した単語テストを実施。2種類のアニメーション画像を使い、飼い主が発した単語と画像の組み合わせを学習できるかを実験したところ、多くの猫が1歳2か月の人間の乳児より、速く学習できることが判明しました」(動物ジャーナリスト) 猫は人間の乳児よりも、学習能力が高い―非常に興味深い研究結果である。では、同じくペットとして人気を二分する犬と比較するとどうなのか。 動物の生態に詳しい獣医師の山本宗伸氏は、互いの知能レベルについて次のように言う。 「通説では、犬と猫の知能は2~3歳児程度といわれています。しかし、犬のほうが指示に従い、物を取って来るなど学習能力が高いという点から、より知能が高いのではないかという意見もあります。 ただし、それはあくまで人間と共存していくうえでの知能。“賢さ”の定義は、状況によっても変わってくるため、さまざまな考え方ができるのではないでしょうか」 だとすれば、学習能力で劣る猫が、犬より優れている点は何なのか。 「野生環境での生存能力は、圧倒的に優れていると思います。自分でエサを手に入れる狩猟能力や危険察知能力は猫のほうが上です」(前同=以下、山本氏) そんな賢さの違いは、両者の習性の違いに起因するという。 「犬は、他者と協力して集団で行動することを好む動物なんです。だから、人間との意思疎通や指示を継続的に守ることができる。一方で猫は、単独行動を好む。自身で自分の身を守らなければならないため、危険な場所や怖いことを記憶するのに長けています」
■交配の歴史で見る猫と犬の違い
さらに、人間との関わり合いの歴史を紐解くと、両者の違いがより浮き彫りになってくる。前出の獣医師の山本氏が語る。 「猫は人間とコミュニケーションを取って暮らすというよりは、穀物や食べ物に近寄るネズミ退治としての役割を担う存在でした。それが近代になると、いわゆる愛玩動物、ペットとして扱われるようになっていきました。特に、ここ50年ほどで、マンチカンの短足のような外見的な特徴がある品種の交配が増えましたね。これは人が猫にネズミ退治よりも、かわいさを期待するようになったことが理由でしょう」 一方で、犬は古くから人間をサポートする存在だったという。 「犬と人間の関係の歴史は古く、およそ1万8000年前からと言われています。最初は番犬や狩猟の手伝い、その後、ソリを引かせるなど時代とともに犬の役割は増えました。猫以上に人間に身近であった犬は、役割に応じて、優秀な犬同士が交配されていきました。その結果、例えばゴールデン・レトリバーはもともと、撃ち落とした鳥を回収する狩猟犬でしたが、その知能の高さと従順さから現在では盲導犬としても活躍しています」(前同) 人間の手によって、別々の進化を遂げてきた猫と犬。その愛らしさには差がないと言えるだろう。
ピンズバNEWS編集部