「今後も専守防衛は堅持」岸田首相会見12月16日(全文2)
専守防衛政策の転換点になるのではないか
記者:ジャパンタイムズの高原と申します。安保関連3文書には反撃能力の保有の記載があり、国内外に、これが専守防衛政策の転換点になるのではないかとの懸念があります。今後、状況によってはそれがなし崩しになる可能性もあるのではないかと思われますが、総理の考えをお聞かせください。 岸田:昨年末から、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、反撃能力を含めあらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討をしてきたということは先ほども申し上げたとおりですが、この検討は憲法および国際法の範囲内で、そして日本の国内法の範囲内で、さらには日米の基本的な役割分担もしっかり維持しながら進めてきた、こうした議論であります。この範囲内で日本が対応していくということ、これは言うまでもないことであります。 その結果、保有を決定した反撃能力については、その定義や、どのような場合に行使しうるかも含め、国家安全保障戦略に詳細に書かせていただいているところですが、その上で申し上げれば、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その対応も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、これは憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢というものであり、わが国の防衛の基本的な指針であり、これは今後も変わらないと考えています。反撃能力についてもこの考え方にのっとっており、今後とも専守防衛、これは堅持してまいります。ご指摘のような懸念については、今後とも丁寧にお答えをしていきたいと考えています。以上です。 司会:それでは次、NHKの清水さん。
GDP2%という目標を設定したのはなぜか
記者:NHKの清水です。お願いします。冒頭にも少しお話がありましたが、総理自らGDP2%の予算措置を指示されました。一部で数字ありきとの声もありますが、この2%という目標を設定したのはなぜか、また、国内外でどのような意味を持つと考えるかをお聞きします。 一方で財源の議論では、個人の所得税負担が増加する措置は取らないとしていましたが、与党税制改正大綱には復興特別所得税の期間延長が明記され、すぐに負担は増えないものの、長期で見れば負担が増えるとの声もあります。この点に関する総理の認識と、どのように国民の理解を求めていくかを伺います。 岸田:まず前半の質問ですが、2%ということ、数字ありきの議論をしてきたということはないということはまず申し上げておきたいと思います。まず行ったのは防衛力の抜本強化の内容の積み上げです。その結果として、5年間で緊急的に整備すべき防衛力整備計画の規模と、5年後の2027年度に達成すべき防衛費の規模を導き出したということであります。併せて、こうした防衛力の抜本的強化を補完する取り組みとして、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費、これを積み上げました。こうした積み上げの考え方が大前提であるということ、これをまず申し上げたいと思います。 そして一方で、NATOをはじめ各国は安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する、こういった姿勢を今、示しています。わが国としましても、国際社会の中で防衛力を強化していく、平和と安定を守る上で国際社会の協力が重要であるということを、この3文書の中でも強調をしています。こうした国際社会の協力が重要だという日本の姿勢を示す上で、GDP比で見ることは指標の1つとして意味があると考えているところです。このため2027年度において、防衛力の抜本的強化と、それを補完する取り組みを併せて、そのための予算水準が現在のGDPの2%に達するよう、所要の措置を講ずることとした。こうしたことであります。 そして後半の所得税の負担の問題ですが、先ほども申し上げましたが、まず復興特別所得税については、復興財源の総額を確実に確保する、これは言うまでもないことでありますが、その上で減税分に相当する税率1%の新たな付加税をお願いすることといたしました。そしてそのことが、ご質問のように、課税期間をトータルで見れば負担総額が増えるのではないか、ご指摘がありました。